麻布十番で働くCEOのBlog(旧・南麻布で働く社長のblog)

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2017年02月

市場価値や専門性について興味や関心を持つ若いビジネスパーソンは多いだろう。

昨今の東芝問題やシャープの買収などを目の当たりにすれば、そりゃ当然会社依存のキャリアではなく、純粋に市場価値を高くできなければ不安定極まりないことに気付き始めるのも当然だろう。


ただそこで市場価値やキャリアというのは具体的にはどういうものなのか。
私は安易に専門性や特殊技術を高めることを、市場価値だ、キャリアだと言ってる人が多すぎることに少し危険性を感じる。

会社組織において評価できる人材かどうかというのは、あくまでもその組織のビジョンやゴールなど目標実現に対して、どれだけ貢献したか、どれだけポジティブな影響を及ぼしたか、という軸で判断されるべきであろう。

極端に言えば技術力が高かろうと、金融知識が豊富だろうと、会社の成長や目標達成に対して、さほど影響を及ぼせない人であれば、評価には値しない。

じゃあ技術や専門性は不要なのかといえば、それは全く異なる。
多くの組織において人並み以上に貢献し、活躍するためには、専門性や知識、経験や実行力、リーダーシップやマネジメントスキルなどが必要になってくるわけで、あくまでも貢献するために必要な要素を身につけていく、そういう発想が最もナチュラルではないか


例えばエンジニアであれば、もっともっとこの会社に貢献するためには、社内でまだ誰も習得していないこの技術を自分がマスターすれば、今まで以上に貢献できると思えばそれを学ぶのは極めて正しい選択だろう。

所属する会社で使えもしない技術や専門性を身につけたところで、貢献という尺度でみれば、何のプラスにもならない。勿論幅広い知識や経験が日常のパフォーマンスに生きるという意味では、ゼロではないのかもしれないが。。。。


日々の仕事において、自分の成長、市場価値の向上にフォーカスしている人が組織人として一流になれる可能性は限りなく低い。あくまでもその組織の成長や目標達成に対する貢献にフォーカスし、その貢献度を最大化するために努力を惜しまない人が、一流のビジネスパーソンへと成長していくのだと考える。先日のエントリーでも書いた「一流のマスト条件は視座の高さ?!」とも通ずる話である。


本田圭佑がNHKのプロフェッショナル〜仕事の流儀〜という番組の中で語っていた言葉を思い出す。


どっかでテイクしますよ。今はギブに努めて。 by 本田圭祐    


一人一人がプロフェッショナルで、常にステップアップを意識しながらチャンスを追い求めている人達が集まるチーム。そんな有能な選手ばかりの世界だからこそ、「人のために」「チームのために」ということを考える選手は少なく、如何に自分が目立ち、パフォーマンスを上げ、スカウト陣の目に止まるかを考える。しかしそんなチームが勝てるわけはなく、選手のレベルに反して連戦連敗が続く。
そんな中、本田圭佑は視点を変え、この程度のチームを勝たせられないようならステップアップしても活躍できるわけがない。まずは「チームプレイ」にあえて徹することでチームを勝ちに導くべきである。その切り替えによってチームはみるみる強くなっていき、本田圭佑はスカウトの目にとまり、セリエAへとステップアップしていく。


こういった話は決してスポーツチームだけの話ではなく、あらゆる組織やチームに当てはまる本質的なセオリーではないかと思う。

何にフォーカスして日々努力するか。何のためにインプットするか。何のために専門性を磨くか。
チームで何かを成そうとする以上、極めて大事な問いかけではないだろうか。

最近こんなブログエントリーばかりなのは、恐らく最近の私自身の大きなテーマの一つに、若手社員の育成ということがあるからだろう。

複数事業を運営しつつも、各事業はリーダーが責任をもって率いてくれているようになりつつあり、私自身は、中長期的な会社の飛躍のための様々な取り組みと、人材採用・育成を含めた組織の強化を主たるミッションとして取り組んでいる。

そんなことで、できる人とできない人の差が何で生まれるのか、何を伝えてあげられれば、どんな機会を提供してあげれば、人は伸びていくのか、そんなことをいろんな人と議論したり、情報を収集したり、自分の経験と照らし合わせながら考えたり。。。。


ある時に聞いた話で、できる人の行動で面白いほどの共通項があるという。
それはその人にとって良いと思う本を薦めたときの行動に現れるという。
多くの人は「今度読んでみます!」といった反応をするだけに留まり、一部はメモを取るという。そしてごく一部はその場ですぐにスマホで即購入し、数日中に読み終え、感想を送ってくるという。
この最後の一部の人達こそ、仕事ができる人達に共通する行動なのだとか。


私自身、平時から社員個別の課題に合わせてちょくちょく本を薦めたりしているのだが、その後の彼らの行動を観察していると、確かにそんな傾向があるように思えてきた。先日もとある若手社員に二冊ほど本を薦めたところ、翌日にはデスクの上に2冊の本が届いているのを見て、なかなか行動力があるなーと感心した。


私なりの解釈としては、本を薦められたときに即購入するという行動からわかるのは、インプットや成長に対して貪欲であり、なおかつ決断力・行動力に長けていて、タスクを先延ばししないという、そんなことなのではないだろうか。

そう考えれば確かに仕事ができる人の共通要素が垣間見える気がしないでもない。

結論、仕事ができる人は上記のような行動を取る傾向がある。
しかし上記のような行動をとれば仕事ができるようになるという話では全くないので誤解なく(汗)。

個人の成長、市場価値の向上、専門性向上など、向上心や成長欲求の強い人達は常に自分の価値向上と向き合いながら、日々努力している。

フリーランスで働くのであれば能力や専門性の向上は何よりも命綱だろうし、そこが最大の武器となるのはそのとおりだが、組織で働く上では実は一番重要な要素はそこではないのではないと思っている。

話は飛ぶが、よく営業が強い組織において最も売上をあげる人が出世しているケースを見かけるが、本当にそれが組織として成長する上で正しいのだろうか。大企業で十分な能力や専門性を磨いてきたにも関わらず、ベンチャー企業に飛び込むとその多くが実力を発揮できないのは何故なのだろうか。


私が今まで16年以上もの間、経営者として多くの社員を見てきて、活躍する人とそうでない人、優秀だなーと思う人とそうでない人の一番の差は、実は能力や専門性ではないと考えている。

経営リーダーと言われるような組織でバリューを出す人達における共通要素は、能力の高さや専門性もさることながら、それ以上に視座の高さやメンタリティにあるという結論に達した。視座の高さやメンタリティが経営者や起業家のそれとほとんど同等である人達こそが、組織において最も成長し、最も貢献し、最もリーダーとしての信頼と尊敬を集めるのは、私の経験上ほぼほぼ間違いないと断言する。

どれだけ能力や専門性を有していても、視座が低かったり、メンタリティが低かったりすると、そもそも単なる専門家にしかなれず、組織において高い価値貢献をするようなリーダー人材にはなりえない。

逆に視座が高く、常に経営視点を持ち、まるで自分が経営者かのように考え、判断し、行動するようなタイプの人材は、極めて早期に組織リーダーとして活躍することができる上に、いつのまにか能力や専門性も一定以上身につけているケースが多い。

一番間違いやすいのは、営業組織などで最も高い売上や実績を上げている人が、最も組織において優秀なのではないということ。ここを間違えて抜擢などすると組織作りにおいて大きなミスを犯すことになりかねない。

抜擢するならば、その人の持つ視座やメンタリティをMUST条件としつつ、その人が周囲を納得させられるだけのパフォーマンス(必ずしもトップパフォーマンスである必要はない)を出したタイミングで実行するのがベストだろう。

多くのサラリーマン的な人達は、個別に見ると得意領域においては一定以上の専門性や豊富な知識を有していることはありながらも、どうしても視座やメンタリティという面では完全なる労使関係における「労」としての意識が染み付いてしまっているケースが多く、そこを脱却しない限りは組織リーダーへと成長するのは極めて困難であろう。


視座やメンタリティを鍛えさせる上で、自分の組織やチームを持たせてみるというのは一つの育成方法なのかもしれないと最近思うようになってきた。私自身も26歳から上場企業の子会社の社長という自分のキャパシティを超える役割を任せてもらったことが、今でも大きな財産となっているのは間違いない。

そういう意味でも組織としては積極的に挑戦し続け、経営リーダー人材が育つようなオポチュニティを沢山創造していくことで、組織はますます強くなっていくのだろう。

アトラエのようなフラットな組織であればこそ余計に、肩書や立場で管理する管理職ではなく、視座の高さと圧倒的なリーダーシップで組織を率いるような、そんな人材が極めて重要になってくる。

一言で言えば人としての器の大きさ、それこそがリーダーとして大事なのかもしれない。

いろんなところから「お前の器はなんぼのもんなんだ!」と言われそうで、だいぶ気まずい着地になってしまったが、あくまで私自身も発展途上の若手経営者ということでお許し頂きたい。。。。

会社が成長する中で時折脳裏をよぎるのは、自分自身も経営者として進化しない限り、近い将来この組織において不要な存在になるという事実。

これは被害妄想でも自信のなさからくる不安感でもなく、健全なる組織における当たり前の事実に過ぎない。

会社が成長するにつれて、経営者として求められる役割やバリューが変わってくるのは当然であり、その変化に対応できなければ、いつしかバリューが出せなくなってしまうのは自明だろう。

弊社に関していえば、この1年くらいで完全に事業運営は任せられるメンバーが育ってきており、いよいよそのフェーズの経営者に期待される役割は、この半年やそこらのパフォーマンスではなく、むこう1〜3年くらいの成長を加速させることであるのは間違いない。

一方で1〜3年の成長を加速させるには何をどうすればいいのだろうか。

会社を立ち上げて13年以上もの間、プレイング経営者として常に第一線で戦ってきた私にとっては、そこの進化は決して簡単ではなく、ここ数ヶ月は上記のような自問自答の繰り返しだったように思う。

年末年始にまとまった時間が取れたことに加え、最近多くの経営者仲間と会食させてもらう中で、私より先を走る経営者達からの貴重なアドバイスもあって、ようやく見えてきた。

私が今やるべきは、短期的な売上確保ではなく、長期ビジョンに基いた1〜3年の中期の戦略立案とその実行、そしてそれらを長期に渡り実行できるような強固な組織作りや人材育成なのだろう。そしてそれを成すためには、もっと自分自身の経験や知見、知識や人脈の幅を広げないといけない。


その一つとして、今までずっとお断りしてきた社外取締役や顧問などの依頼について、今後は自分の経験の幅や知見を広げる意味でも基本的に前向きに検討していこうと考えている。お役に立てることがどの程度あるのかはわからないが、組織作りや会社経営という点では多少なり経験してきたことを還元できるようなケースもあるかもしれない。


複数の会社と関わったり、多くの経営者と幾度となくお会いする中で得られるティップスは、本やネットから得られるそれとは雲泥の差がある。それらの生の価値ある経験を積み重ねる中で、自分の視座を高め、次なる存在意義を有していかなければ、私自身のアトラエにおける価値はなくなっていく。それが健全な組織の新陳代謝なのだから致し方ない。


改めて、アトラエという会社のステージの変化に伴い、自分自身も単なるベンチャー起業家から、上場企業経営者へと進化を遂げると共に、今までの小規模組織のプレイングリーダーから、本格的な上場企業CEOとして、より高い価値を発揮していきたい。

どのフェーズまで自分が進化し続けられるか、こうなったらとことん食らいついてやろうと思う♪

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