麻布十番で働くCEOのBlog(旧・南麻布で働く社長のblog)

成功報酬型求人メディアGreenの運営や、インターネットサービスの企画・開発を行う株式会社アトラエの社長のblogです。

2017年04月

今日はあくまでも19年近くHR関連業界で仕事をしてきた私なりの見解について書こうと思う。

最近複数の学生から

「アトラエはやりがいや組織づくりを重視していると思うが、自分は経済的な側面にもかなり高い関心を持っていて、その点が不安だ」

という主旨の質問を頂く機会があった。

確かにアトラエという会社には金銭的な報酬には比較的無頓着だったり無関心が人が多いのは事実かもしれないが、私を含めた一部のメンバーは経済的なゆとりを持つことについても普通以上に関心を持っているのではないかと思う。


まあそれはさておき、話は変わるが世の中には4つのタイプが存在する。


市場価値が低いのに給与が高い人
市場価値が高いのに給与が低い人
市場価値も給与も低い人
市場価値も給与も高い人



個人的に結構日本に多いのは、市場価値が低いのに給与が高い人だと思っている。
それも一流大企業にかなり所属している可能性が高い。
というのも一流大企業と呼ばれる組織は既に社会に価値を創造する巨大な仕組みを有しているケースが多い。インフラ系ビジネスなどはその典型であろう。つまりその仕組みを安定的に運営するなり、職務上の工夫を繰り返していくだけで、社会に大きな価値を創造することができる傾向にある。となると個々人が市場価値を高める機会や必要性は少なく、その仕組みの運営方法に精通し慣れることが主たる目的となりやすい。

このタイプの人は、長期的な見地から考えるとかなり危ない状況だと思う。
万が一会社から見放されると、市場価値以上に給与をもらってしまっている以上は、市場で同等の収入を得ることはほぼ不可能となる。多くは会社依存型の人生を歩んでいくことにならざるを得ない。

一方で市場価値が高いのに給与が低い人
これは会社のステージがどうしてもアーリー過ぎて、本来はバリューを有しているものの、それが十分な社会的価値に転換できずにいる状態である。ベンチャー企業に転職してきた中途の優秀な人材に多いタイプだろう。新卒からベンチャー企業に飛び込んで多くの決断経験や修羅場をくぐり抜けてきたタイプの人材もここに当てはまるケースは多い。

それでも恵まれずに会社自体が創造する社会的価値が十分なレベルまで伸びていかないと、どうしてもそこからの分配である給与水準は市場レベルまであげられないケースがある。このパターンは決断するタイミングが難しい。自分の持つバリューを社会的価値に転換しやすいステージにある組織に移ればすぐにでも見合う条件が得られる可能性が高いものの、将来のアップサイドを含めた夢を抱えて挑戦してきている人が多いだけに、その決断は簡単ではないだろう。


市場価値も給与も低い人は、どこかでゲームをひっくり返さない限りは抜け出せない。


市場価値も給与も高い人は、外資金融や外資コンサルで勝ち抜いた一部の人や、大企業の中で奇跡的に恵まれた挑戦機会を得ることができるほどに運と実力を兼ね揃えたごく一部の人達、そして成長企業で挑戦して多くの修羅場をくぐり抜けた結果、会社が一定以上のステージまで到達した限られた人達が当てはまる。この領域に到達できればもちろんあらゆる意味で安心であろうと思う。

といっても、こういう人達に限って安心や安定にさほど興味を持っていないケースが多かったりもするのだが。。。。


正直、私は人生の報酬は経済条件だけだとは到底思わない。
さらに言うなら経済条件が一番重要な要素だとも思わない。
人生のかなりの時間を費やす仕事に対して、やりがいや夢を感じられるかどうかが何より大事だと思っている。そしてその夢を追いかけ人数倍没頭し続けた結果として、社会に価値を生み出せるようなレベルに到達することができるようになり(つまり市場価値を身につけることができ)、その対価として見合った収入を得ることができるようになることが理想だと思っている。


アトラエでは既に一部の市場価値の高いメンバーは大企業の同じようなレベルの人と比較しても、十分な報酬を得ることができるくらいのステージには到達している。一方で市場価値がまだまだ十分でないメンバーにとっては大企業の同じようなレベルの人と比較すると明確に低いのも事実である。一流大企業ほどに社会に価値を創造する仕組みが出来ているわけでもなく、その中で実力主義で収益を分配をする以上は当然そうせざるを得ない。(よほど戦略的に人材投資をしない限りは・・・)

そもそも大企業では市場価値の差による経済的条件の差はさほど生じないことが多いのだから当然とも言える。


こう書いてみると、ある程度の社会的価値を創造できうる仕組みを持ちつつも、修羅場や決断機会が若くして沢山得られるような企業が最も市場価値と給与のバランスは良さそうだが、大事なのは市場価値をどこでどうやって磨くかということだろう。

市場価値を高めるためには、好きなことに人数倍没頭することが一番の近道なのではないかと思う。アスリートであろうとアーティストであろうとその点は同じような気がする。
自分が人の何倍も没頭し熱中できる、熱狂できる道を見つけ出し、そこで多くの修羅場をくぐり抜け、決断経験を繰り返し、市場価値を高め、社会に大きな価値を生み出すことができるようになれば、遅かれ早かれ経済的にも十二分に満たされることだろう。

既にこれだけいろんなことが満たされている日本において、近い将来、金銭の持つ報酬としての相対的価値はより低下していくだろう。そしてそれに変わって、自身の存在意義を感じること、つまり感謝されることややりがいや信頼を得られることに力点が移っていくのではないだろうか。

そんな時代に、短期的な金銭報酬を第一にして人生の選択を繰り返してきた人達が直面する現実は、かなり厳しいものになることが予想される。

少なくともまだ十分な選択肢が残っている人達には、しっかりと自分の道を考え、決断してもらいたいと思う。

末筆ながら、以上はあくまでも私個人の勝手な見解であることを付け加えさせて頂く。

いよいよ4月ということで、多くの企業では今日から新しい期が始まっているのではないだろうか。
弊社アトラエは9月決算なので今日から下半期に突入ということになる。

新卒3名(1名が半年留年により。。。)が新たに加わり40名ちょっととまだまだ小規模ながら、少しずつ組織としても拡大していっている。


そんな中で改めて経営者として考えるべきだと思うことは、社員全員、つまり組織全体のエンゲージメントを如何にして高くするか、そして高く保つかということ。

エンゲージメントとは、従来の単純な満足度とは異なる組織の状況を測る指標として昨今注目を浴びているものである。もともとはエンゲージメントは「企業やブランド、商品、サービスなどに対してユーザーが愛着を持っている状態」を表す言葉として使われていたものであり、それが転じて組織に対する従業員の愛着心や思い入れを示す、いわゆるモチベーションやロイヤリティを総合的に表す言葉として使われるようになったという。


ではどうして今頃になってそんなことが言われ始めたのか。
以前から従業員のモチベーションやロイヤリティは大事だったはずではないのか。


個人的には恐らく2つの理由があると思っている。

もちろん以前からも重要視してきた組織もあるのだろうが、製造業と知識産業ではその重要度のレベルが違うということなのではないだろうか。

我々のようなインターネット産業においては、経験や知見、情報やノウハウは全て個人に蓄積していく。ナレッジデータベースやノウハウの共有などと工夫はするものの、所詮は個人の頭の中に蓄積していくものの方が圧倒的に価値がある。

つまるところ優秀な人材の流出というのは、蓄積してきたナレッジやノウハウの流出に他ならない。
製造業でいえば特許流出に近しいダメージがあるといっても過言ではないように思う。

無形のサービスによって価値提供をする組織のほとんどがそうなのではないだろうか。
そしてこれからはそういった企業が経済の中心となっていく以上、組織エンゲージメントが注目されるのは当然のことといえる。


もう一つは日本における労働人口の減少が考えられる。
現在の有効求人倍率をとってもわかるが、日本はだいぶ採用が困難な国になりつつある。特に優秀な若手人材の採用は極めて難しく、とんでもない競争環境の中で採用しなければならない。それにも関わらず、やっと採用した若手社員が簡単に辞めてしまったりするから、困ったものである。

つまるところ採用にも相応のコストがかかる今の時代において、採用することの前に、優秀な社員が辞めないような組織を創ることをしない限り、穴の開いたバケツに水を汲み続けることと同じくらい、意味がないことになる。


上記2つの理由から、従業員のエンゲージメントを高めるということが注目され始めているのではないかと推察する。

従業員のエンゲージメントが高いことによって、社員の離職に伴うオペレーションや引き継ぎなどのコストが削減され、採用コストも抑えることができる。そして何よりも人が長期に渡り働いてくれることで、経験とノウハウを組織として蓄積していくことができる。経営者として常に社員流出のリスクと向き合いながらリスクヘッジしないといけないケースと、そういったことを意識せずに社員を頼り、社員を信頼して、積極的にノウハウを蓄積することができるケースでは、当然後者の方が経営はしやすい。


昨今は働き方改革で長時間労働是正やブラック企業撲滅などが叫ばれているが、単に長時間労働だからブラック企業だと決めつけるのは甚だおかしいと感じる。芸能の世界で活躍している人達やアスリート達なんかもハードに活動していることは多々ある話であろう。

ビジネスの世界でも没頭したり熱中したいときもすべきときもある。
大事なのは自分の意志で自分の判断で選択しているということ。
つまりエンゲージメントが高い状態であれば問題ないのではないかと思う。
ブラック企業か否かの判断は、従業員エンゲージメントをしっかりと測定し、その高低によって判断しなければ、本質的に悪質な企業かどうかは見極められない。


ちなみに弊社アトラエではこの2期間において人が1人も退職していない。
つまり直近数年においては離職率がゼロということである。
これは流動性の高いIT業界では極めて珍しい結果だろう。

新卒採用に時間も費用も投資しても、しっかりとそのメンバーが長期に渡り成長し、活躍することによって、十分な費用対効果を得られる。


現在弊社ではwevoxという業界でも数少ない組織エンゲージメント測定ツールを新たなサービスとしてリリースしている。既に引き合いは多く、IT・インターネット業界はもちろんのこと、日系大手企業からの引き合いも多く頂いており、組織力向上に対する意識の高さや注目度が伺える。

今までの経営ミーティングなどでは、常に事業のKPIのみが共有されてきて、人事や組織については抽象的な報告・共有だけだったケースが多いのではないだろうか。これからは組織エンゲージメントについても毎月定例で報告・共有することで、組織力向上に対して適切なPDCAサイクルを回し、戦略的に組織を構築・改善していく時代になっていく。

事業と組織のKPIを注視し、適切なPDCAサイクルを回すことこそが、これからの時代の経営者の成すべき仕事ではないだろうか。

現在弊社では組織エンゲージメント87というハイスコアな状態ではあるが、中期目標として95まで高めていくことを先日の社員総会で発表した。社員全員で本気でこのスコアを目指し、組織改革を行っていく。

「社員の声が組織を変える」

まさにこれがwevoxのコンセプトである。

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