麻布十番で働くCEOのBlog(旧・南麻布で働く社長のblog)

成功報酬型求人メディアGreenの運営や、インターネットサービスの企画・開発を行う株式会社アトラエの社長のblogです。

2017年07月

連日のようにニュースや新聞などのマスメディアで取り上げられている働き方改革。
今朝の日経新聞でも一面で『脱時間給法案』について取り上げられていた。

その議論の中身を拝見するに、いよいよもってあらぬ方向に向かっていないかということを少しばかり懸念している。

例えば今朝の日経新聞では、

現在の労基法改正案では「休日確保」「インターバル」「労働時間の上限設定」の中から何れかの対策を講じれば良いが、これでは休日なしで働き続ける恐れがあるとの指摘が出ていたという。


との記載があった。

基本的には労使において、使=会社が強く、労=従業員は弱いという前提に基いて、あらゆる議論がなされていることに違和感を感じる。

労働の自由に関する基本概念があり、そして少子高齢化という世の中の流れを考えれば、本来であれば会社側が人材確保にやっきになり、採用した社員に定着してもらうために知恵を絞るのが筋ではないのだろうか。

何故そこが大きくずれてしまうのか。

私なりの推論としては、かつて終身雇用を前提として働いてきた日本の会社員は、市場価値や自身のキャリアを磨くことに対する意識が不足しており、現時点では市場に放り出されることによるリスクが高い人が多いからではないだろうか。

本来であれば、休日なしで働かされるような会社や、ブラック企業と言われるような会社は、さっさと辞めて、別の会社に転職すればいいだけであり、その選択の自由度は一人ひとりの従業員が持つべき権利だと思う。

上記したような負の関係を解決するためには、大企業を中心とした組織における人材の流動性を高める必要がある。あくまでも私の持論でしかないが、そのためには解雇規制を緩和するのが圧倒的に良いのではないかと考えている。

逆説的だが、解雇規制を高めることにより、会社は雇用に二の足を踏む必要がなくなり、多くの人にとって挑戦する機会が生まれやすくなる一方で、従業員一人ひとりは常に会社への貢献度合いや自身の市場価値や専門性を意識しながら働かざるを得なくなる。つまり今までは会社に所属することにフォーカスしがちだった人達が、ある意味で強制的に自分の能力向上や貢献に対して責任を持つようになる。

それによって会社側としては、結果的に優秀な人材を惹き付けるために魅力ある組織へと進化していかざるを得なくなり、福利厚生を充実化したり、給与水準を高めたり、ダイバシティを向上させたり、、、、まさに現在義務化しようとしていることが、勝手に自助努力的に行われていくのではないかと期待する。

少し極論であることは重々理解しているが、今まで長きに渡り変わることができなかった日本の働き方を本気で改革するのであれば、多少の荒療治は必要なのではなかろうか。


先日もとある方から、働き方改革に関して検討をしている有識者会議の見識や方向性についてお話をお聞きしたが、日本の生産性の低さの根本背景としてテクノロジーの導入が遅れていることだという仮説に基いて調査をしているという。

現役経営者であれば、多くの人がこの仮説がズレていると感じるのではないだろうか。
残念ながら明らかに机上の空論的に理屈のみで考えすぎた結果であろう。

私は日本企業の生産性の低さは、まさに非合理的な人間関係や、中間管理職を中心としたリーダーの能力不足、そしてそもそも過剰な中間管理職の存在といった側面が大きいのではないだろうか。

私の少ない経験の中では、日本人ビジネスパーソンは世界でも類を見ないほどに勤勉であり、誠実なように映る。優秀な人も多い。それでもチームや組織となるとその力が発揮されない。それが何故なのか、もう少し深く調査、研究することが大事なのかもしれない。

少なくとも今の働き方改革の方向性は大きく現実感を欠いていることだけは間違いない。

なんだかどこかの転職サイトのキャッチコピーみたいなタイトルになってしまったが。。。。

最近若い起業家からの相談で一番多いのは資金調達や資本政策に関することだったので、ちょっと資金調達について私の感じていることについて書いてみようかなと。

相談の内容のほとんどは、どのVCがいいか、どの程度のバリュエーションで、いくらくらい調達するべきか、エンジェルはどうか、などなど。

それに対して私自身が毎回伝えているのは、もし資金調達しなくていいならしないにこしたことはないということ。そしてビジネスモデルが固まってない段階での資金調達はできるかぎり避けた方がいいということ。

最近は事業計画書1つであっという間に数千万円単位の資金調達が出来てしまう。それ自体は起業を促進するという意味でも決して悪いことではないものの、あまりに簡単に資金調達ができてしまうことによって、事業で価値を創造し、コストをコントロールして利益を捻出するという、本来経営者として当たり前の職務を忘れかけているような人が増えてしまっているような気がする。

ぶっちゃけ1000万円の利益を創造するよりも、1000万円調達する方がよっぽど楽な世の中になりつつあるから、どうしてもそっちに意識がいきがちなのもわからなくもないが、やはりスタートアップは一生懸命社会に価値ある事業作りをし、それが価値を生み出すまでは必死になってコストを押さえて、つつましく努力をすることが、経験として極めて大切だと思う。

さらにしっかりと黒字化させるということよりも、高いバリュエーションをつけてエグジットすることばかり考えている人も増えているようにも感じる。もちろんそういう市場が整備されてきていることは、日本全体として起業を促進するという意味ではポジティブなものの、本来の起業家は、社会に価値ある事業や会社を創るという強いパッションを持って挑戦する存在であり、そこが薄れてしまうと単なる経済ゲームになってしまう。


そもそも好きなことで食べていくことはそんなに簡単なことではない。
それでもそれで生きていく決断をするのであれば、それくらいの努力と忍耐は必要だろう。
芸人でもアスリートでも職人でも、好きなことを仕事にしようと思う人は、誰でもそういう我慢の時期があるもの。
起業家もそれに近いものがあるような気がする。


脱線した話を戻そう。。。

本気で事業のことを考えた上で、資金調達すべきだと判断したのであれば、今度はその相手を慎重に見極めないといけない。多くのスタートアップでとんでもない経営介入を受けているケースを沢山見てきた。少なくとも資金だけでなく経営に介入してくる相手なのであれば、絶対に起業や経営の経験を持っている人がいいし、できることなら事業的にシナジーがあったり、サポートしてくれるエンジェルだったりの方が良い。そしてその人の投資家としての評判や、人間性について、ちゃんと周囲にリサーチしてから決断すべきだと思う。スタートアップなんてそんな簡単に計画通りにいかないわけで、計画通りにいかない時こそ、株主の人間性や人柄が極めて大事になってくるもの。これは経験してみないとわからないと思うが、私自身の経験からして何より大事なファクターだと言ってもいいかもしれない。

とにもかくにも資本政策だけは後戻りできないので、人材採用以上に慎重に考える必要がある。

こういった資本政策や資金調達のリアルな話は、実際に同じ道のりを悩み、経験し、くぐり抜けてきた起業家や経営者でない限りはなかなかわかりえないこと。その経験なくしてするアドバイスは単なる一般論であり理想論にとどまってしまうケースが多い。

昨今の若手起業家からの資本政策の相談が重なったので、ちょっと投稿してみたけど、世界と勝負するために何十億も調達し、それをテコに頑張っているようなレベルの起業家は既にもっと高い次元にいるので、こういう話とは全く無関係です。あくまでもまだスタートアップで事業や方向性が固まりきってない若手起業家のケースに過ぎないので。

↑このページのトップヘ