東証一部上場を境に多くの個人投資家の方々にも弊社アトラエの株主になって頂き、本当にありがたく、そして今まで以上に重責を感じる日々を過ごしています。

そんな中で東証一部への市場変更ならびに公募増資による資金調達という大きなイベントがあったことで、一定期間については弊社からの発信は意図的に極めて少なくしていたことから、いろいろと誤解を招いていることも多いように感じています。

また数名の株主の方からは、東証一部上場を急いだ背景や、資金が潤沢すぎるのではないか、などのご質問を頂いたこともあり、この場を借りて可能な範囲でお伝えできればと思っています。また決算説明会でもご説明いたします。


東証一部上場を急いだ背景
まずこちらについては、東証マザーズに長期間留まることの理由が見つからないということが一番にあります。どちらの市場でも選べるなら当然ながら信用力や知名度などを考慮すれば、東証一部を選ぶべきであると考えています。マザーズはあくまでも東証一部もしくは二部へのステップアップ市場として
作られた市場だと認識しています。そういう意味ではマザーズに上場したその時点から、いつかは東証一部もしくは二部に市場変更をすることが、ある意味義務付けられていると言っても過言ではないと思います。
その上で社内の管理部門を中心にかかる労力という観点で考えるのであれば、間違いなくマザーズ上場からできる限り短期間で東証一部に市場変更することにメリットがあると考えています。上場審査というのは証券会社の審査部と、東京証券取引所の審査とツーステップあるわけですが、どちらにおいても短期間であれば担当者は同じケースが多く、当然ながらマザーズ上場時にかなり弊社のことを熟知して審査してくださっています。それによってゼロから新しい担当者の方に事業や組織について説明するよりも、有効な審査を行って頂くことが可能となります。そういう意味でも特段の理由がなければ最短でステップアップする方が得策だと考えた次第です。


資金調達ならびに余剰資金について
資金調達についてですが、当然ながらなんの目的もなく資金を調達したわけではありません。弊社はいまだ社員数50名にも満たず、売上規模も数十億規模の企業であり、ビジョン実現のためにも、また株主のみなさまへの価値還元ということにおいても、まだまだ成長し続けていく必要があるのは明白です。
一方で現在のビジネス環境は極めて移り変わりが激しく、高度経済成長期のような成功の方程式を一度作ったら何十年もその方程式が成り立つような市場ではありません。
テレビ局が多くのインターネット動画サイトのベンチャー企業としのぎを削ったり、自動車会社がGoogleを代表とするインターネット企業と競合するような時代です。
弊社として、事業創造時にはその社会的意義と簡単には模倣も追随もできないような競争優位性や独自性を極めて重視していることで、ここまでは安定的な成長を実現できてきましたが、それでも数年後という視点でいえば、安定的に成長し続けられるという保証はどこにもありません。
またインターネット市場といっても、アイディアのみで成功できるような黎明期はとっくに脱しており、極めて成熟した市場へと変わりつつあります。そんな市場においては、単なるアイディアベースでの挑戦が大きな成功につながる可能性は極めて低く、しっかりとした戦略や差別化を有したビジネスモデルとそれを実行しきるだけの組織力と資金力が重要になってくることは間違いありません。
弊社の場合は自己資本比率という観点で見れば極めて高いというのはその通りですが、今後インターネットを駆使して社会に価値ある事業を複数創造しながら成長し続けるために、人材やマーケティングに投資するための手元流動資金ということで言えば、決して多すぎる額ではないと考えています。


以上がみなさまから関心をお寄せ頂いた二つの点に対する弊社としての回答になります。

とはいえ、昨今の株価の推移については多くの株主様にご心配をおかけしていることと存じますが、東証マザーズへの上場、そして東証一部への上場を実現してからもなんら変わることなく、理想の実現に向けて日々モチベーション高くビジネスに取り組んでおります。事実、社員の離職率も上場前後で一切変化なく、いまだにほとんどの人が辞めずに長期的にモチベーション高く働いております。

昨今短期的な株価対策などが注目されることもありますが、我々アトラエはそういった表面的なことではなく、社会的意義のある事業の創造と本質的に強い組織の創造こそが、長期的な企業の発展と成長を実現するものと考えており、それこそが最終的には株主のみなさまへの還元にもつながることだと信じております。


ここではなかなかお伝えできないことも多く、まだまだ疑問な点も多くあろうかと思いますが、社員一同これからも変わらず本気でビジョンの実現に向けて取り組んでまいりますので、引き続きアトラエの未来にご期待頂ければ嬉しい限りです。