麻布十番で働くCEOのBlog(旧・南麻布で働く社長のblog)

成功報酬型求人メディアGreenの運営や、インターネットサービスの企画・開発を行う株式会社アトラエの社長のblogです。

2019年02月

おかげさまで最近は日々多くのメディアからの取材依頼を頂いている。
そのほとんどは働き方改革やエンゲージメント、組織運営や社員を活かす組織作りなどの文脈なのだが、その中で頻繁にお話ししている労使関係からの脱却とチーム作りについて少し整理して見ようと思う。


従来、会社組織というのは労使関係というものが存在してきた。今もほとんどの会社で存在している。その背景には、炭鉱業や鉄鋼業や製造業など、巨大資本を必要とする産業において、資本家なしには事業を生み出すことさえ難しく、それによって雇用が生まれてきた。また当時は資本家の多くは、経営者であり、つまり労使の「使」はいわゆる資本家であり経営者のことだったのだと推察される。

この場合、労働者という立場からすれば、労働を提供し、対価として給与を得るわけであり、合理的に考えれば、提供する労働力や労働時間を最小化し、対価を最大化したいという考えになりやすい。対価というのは給与もそうだし、会社の経費による飲食なども該当する。

一方で「使」である経営者からすれば、いかにコストを抑えつつパフォーマンスを出すかを考えるのが一般的だろう。つまるところ、安い投資でたくさん働いてもらいたいという意識を持ちやすい。

これが労使関係における至極合理的なメカニズムである。

だからこそ経営者は労働者を管理・監視しようという感覚になるし、労働者としては経費でもなんでも予算枠いっぱいまで使おうという感覚になる。

ある意味でいえばよほどバランスよく運営していかない限りは、一種の利害相反が起きやすい構造だといえる。


私自身はその感覚を徹底的に変えたいと思って組織作りをしてきた。
私は会社とは「関わる人たちを幸せにするために人が作り出した仕組み」だと思っている。関わる人たちというのは、狭義でいえば、社員・顧客・株主であり、広義でいえば、その家族やパートナーや社会というイメージである。さらには、ビジネスという領域で何か成し遂げたいことを成し遂げるために人が集まったチームであると考えている。成し遂げたいことがビジョンやミッションと呼ばれるものだと考えている。

つまり会社とは、ビジョンやミッションの実現のために、それに共感・賛同した人たちが集まり、その実現に向けて切磋琢磨するチームのことではないのだろうか。

そういった考え方に加え、昨今の知識産業では巨大資本が不要になってきていたり、経営者とは別の資本調達手法が充実してきていることから、従来の労使関係を引きずる必要性もないと考える。

そういった背景や考え方に基づくと、給与というのはチームとして社会に生み出した価値に対する対価の配分だと捉えた方が納得感がある気がしている。端的にいえば、みんなで頑張って稼いだ原資を、株主と社員と事業への再投資(顧客)で分配するわけであり、その社員分をどうやって一人一人に配分するかということでしかないのではないか。

そう考えれば、生産性は高めたりコストを下げたりする方が自分達の給与原資を増やすことができうるわけで、社員としても経営者と同じように考える合理性が高まる。つまり労使の利益相反はほぼなくすことができる。これが新しい時代の会社組織においてあるべき関係性だと考える。

労使関係からチームへ

経営者も社員も一致団結して、一つのチームとして価値あるビジョンの実現へと熱狂する組織であり続けたいものである。

「アトラエは少数精鋭にこだわっていると思いますが・・・」

取材で頻繁に聞かれるこの質問。

ぶっちゃけ少数精鋭になんて全くこだわっておりません(笑)。
あらゆるポジションで積極的募集をしています。

ただあえて言うなら、こだわっているのは生産性です。

私は会社の存在意義は関わる人を幸せにすることに尽きると思っています。
関わる人とは狭義には、社員、顧客、株主であり、広義にはそれに加えてパートナー企業や社会そのものが加わってきます。

生産性を高めていくことなくして、社員の給与水準を高めることもできず、高い利益率を実現することもできず、十分な再投資もできないことを考えれば、生産性を意識するのは当然だと思っています。さらにはリーマンショックのようなリセッションが起これば、膨張した組織はひとたまりもないのは、リーマンショック経験者なら誰もが目の当たりにしてきたこと。

一部の起業家達は、次から次へと大型の資金調達を実施し、赤字であっても高い役員報酬に豪華なオフィス、マーケティングへの惜しみない投資など、一見大胆ですごいなぁと思いつつも、リーマンショックのトラウマを抱える私としては怖さが拭い去れません。

組織の体脂肪率というものがあるのだとしたら、リセッション時に体脂肪率が高いと生き残れない。
そしてやはりビジネスの基本はキャッシュフローベースでの黒字経営にあると考えています。もちろん短期的かつ戦略的な投資による赤字は全く問題ないとも思っていますが、単なる赤字と戦略的赤字は意味が異なります。お金余りの今はその違いをあまり気にしてないようにさえ見えます。

個人的には未上場ベンチャー企業のバリュエーションは正直かなり高い水準にあると思っています。そして、将来的に株式市場で、そのバリュエーションを超える企業価値に到達するのは、そんなに簡単ではありません。これは自分の経験則上も、周囲の仲間達の状況を見ても、本当にそう思います。


弊社も一昨日、第一四半期の決算発表をしました。
正直それなりに順調に成長することができています。
採用する社員もこだわって採用しているので、急速に倍々に増やしたりはできないですが、毎年10人以上の仲間を採用し、少しずつながら拡大しています。

オフィスも4月の新卒の受け入れで一旦手狭になるため、昨年から移転を含めて検討を重ねてきましたが、現時点で我々が理想とするオフィスが空いてなかったこと、2021年年始になれば理想とするオフィスビルに空きがでることなどから、現在のオフィスを拡張工事することで2年間は耐え凌ぐという決断をしました。

今のアトラエの業績や資金力を考慮すれば、2年だけでも別のオフィスに一旦移るという決断をすることも十分にできたと思います。が、やはり東証一部になっても、いくら儲かっていたとしても、我々はいつまでもベンチャー企業であり、常に挑戦者だという気持ちを捨てたら終わると自覚しています。掲げているビジョンの実現にもまだまだ遠く及ばない以上は、まだまだ挑戦は続きます。

最近入ってきた社員からすれば、ケチだなと思うのかもしれませんw
それでもこういう決断の一つ一つが生産性を高め、組織の体脂肪を健全に保ち、ひいては関わる人々の幸せに繋がっていくのだと信じています。

大切な人に誇れる会社であり続ける

我々が大事にするバリューです。
オフィスにおける判断一つとっても、全員がこの価値観に基づいて適切な判断ができていることを本当に誇らしく思います。

いつの時代も、いつまでも、関わる人を幸せにできる、かっこいいベンチャー企業であり続けたいと思っています。

世の中、どんな経営者も成功した暁には

「優秀な仲間に恵まれました」
「すべては社員の頑張りのおかげです」

というわけで、決して、

「全ては私の能力の高さです」

とは言わない。そりゃそうだ。。。
前者の方が魅力ある賢い経営者に映ることくらいわからない経営者は成功なんてしないだろうしw

それを重々わかった上で最近嬉しいニュースが続いたのでそれについて書こうと思う。


まず一つにはマザーズ上場、東証一部への市場変更という重要なミッションをCFOとしてやり遂げた梅村が、取締役を退任することになった。そして彼はそのままアトラエの社員としてGreenの営業チームに入り、猛烈に頑張ってくれている。

おそらくCFOとしてマザーズ、一部と上場を果たしながらも、その後社員として営業に従事している人材は、日本でも彼だけではないだろうか。そういう決断をした彼の思いは以下のFacebookへの投稿で垣間見ることができる。

https://www.facebook.com/y.umemura/posts/2503962986341988

取締役さえも単なる役割分担であり、常に柔軟に「世界中の人々を魅了する会社をつくる」ために自分に何ができるかを考え続ける彼の姿勢は、多くの社員にとって極めて重要なロールモデルとなるはずである。

またさらに2009年に新卒として入社しつつも、途中で転職していたメンバーが、今年からカムバックしてくれた。今はまだ契約社員ではあるが、近い将来正社員として再び同じ釜の飯を食う(古い?!)ことができると確信している。

たった一度の人生ゆえにいろいろな選択肢がある。それでも社外に出ていろんな経験をした仲間が、アトラエで再び頑張ろうと思ってくれるというのは嬉しいものである。そんな彼も今後のアトラエのメンバーにとって、もしくは過去に辞めていったメンバーにとっても、大きなロールモデルとなるだろう。

最後に、1年間業務委託でエンジニアとして手伝ってくれていたメンバーが、3月より正式に社員としてアトラエにジョインしてくれることになった。

彼はもともと知人と二人で起業を経験しており、その片手間で業務委託として週3日ほどアトラエで頑張ってくれていた。技術力の高さもさることながら、その誠実でおだやかな人柄は、アトラエにフィットしていると感じる逸材であり、当初より多くのメンバーが代わる代わる口説いていたw

そんな彼が起業という道を断ち、アトラエで再び夢の実現を志す決断をしてくれたのは、本当に嬉しい。起業でなくてもアトラエであれば夢が実現できる可能性が十分にあり、場合によっては起業する以上にその実現可能性が高いと感じることができたという。
アトラエという仲間や器を十分に活用し、自分が実現したい価値を実現してもらいたいものである。起業からアトラエ参画という、これもアトラエにとって一つの嬉しいロールモデルにたりうる事例だろう。

今年に入り、こんなアトラエらしい仲間の異動や参画が相次ぎ、そして全員極めてエンゲージメント高く活躍してくれており、まさに経営者冥利に尽きる。

前提としてアトラエはフラットで自律分散型の組織運営をしている。ルールよりも倫理観を重んじ、管理や監視よりも性善説を重視している。そんなアトラエでは取締役さえもポジションや肩書きではなく、単なる役割にすぎないと考えている。CEOという役職さえも、あくまでも会社全体のより中長期の戦略を考えたり、ビジョンの浸透を促したり、採用や広報の看板になったりという役割にすぎず、絶対的な存在ではない。

長年そんな組織理論を発信し続けてきたわけだが、それがいよいよ様々なところで現実のものとなりつつあり、またそういったロールモデルの存在が、さらに社員の中にアトラエにおいては当たり前のことだという感覚を根付かせてくれる。

理想の組織の実現を目指して創業し16年、少しずつながら着実に近づいている実感がある。
未曾有の変化の激しい時代においては、強いチームをつくることこそが経営におけるもっとも重要な仕事の一つであると信じ、これからも継続してより強いチームをつくっていこうと思う。

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