麻布十番で働くCEOのBlog(旧・南麻布で働く社長のblog)

成功報酬型求人メディアGreenの運営や、インターネットサービスの企画・開発を行う株式会社アトラエの社長のblogです。

2019年08月

昨日SNS経由で、米主要企業の経営者団体ビジネス・ラウンド・テーブルが、従来の「株主第一主義」を見直して、従業員や顧客、さらには地域社会など、広く利害関係者に配慮した経営をしていくというニュースを目にした。

今回の米国の柔軟な変わり様にはびっくりした。
株主至上主義、時価総額経営、米国主導で世界経済、特に日本を強く牽引してきた価値観を、いとも簡単に切り替える柔軟さというか、変わり身の早さは、さすがとしか言いようがない。

私自身、会社設立以来、会社とは関わる人を幸せにするための仕組みだと言い続けてきた。
先輩経営者から会社とは株主のモノであると言われても、「そんなのありえない」「そんな会社で働きたい優秀な奴なんていない」と突っぱね、独自の理論で「会社」を再定義し、そのポリシーに基づいて経営をしてきた。


今年の4月のブログ「会社は関わる人を幸せにするための仕組み」ではまさにそのことについて書かせてもらった結果、多くの反響をいただいた。

究極的にいえば、誰かだけが得をして、誰かが損をするようなことや、賢い人が賢くない人を利用するようなことは、長期的に見れば成り立たないのは当然であり、倫理的、道徳的な観点からももちろんだが、インターネット社会になったことで世の中にそれが簡単に露呈するようになったことが大きい。

ビジネス界をリードする立場にある経営者達は、今一度会社という仕組みの本質を考え直す必要があると思う。

シンプルに考えれば、いくら株主とはいえ多くの人が見知らぬ株主のために人生を賭けてビジネスに没頭するという発想に無理がある。

もちろん株主も大切なステークホルダーであり、弊社の場合は全社員が株主でもある以上、株価や時価総額については常に意識をしなければならないのはいうまでもない。しかしその最大化が唯一無二の活動目的ではない。社会のため、顧客のため、もっといえば人類を前進せしめるような活動をしていきたい。

経営とはテクニックではなくこういった信念に基づき、短期の誘惑に負けずに、長期に渡り社会や人類に貢献する活動をおこなっていくことなのだと改めて思った。

この30年、40年もの間、特に強いポリシーもなく米国流を模倣してきた日本の企業や経営者が、このニュースをみてどう反応し、どう変わっていくのだろうか。

この機会に日本らしさ、日本の持つ本質的な強さに目を向け、ポリシーある企業経営をしていくことができれば、日本は再び世界をリードする存在になれるのではないかと思うのは私だけではないのではないか。

相変わらずドタバタしており、ついついブログの更新も億劫になってしまいがちな令和元年。

今朝の朝会(社員全員での週初めの情報共有の場)でとあるメンバーから「人と違う道を選択するのが不安だった」というような話があった。

思えば私自身も45年の長い人生のかなりの意思決定において、人と異なる道を選択してきたような気がする。

1997年に内定をもらったインテリジェンスへの入社を決断。
これは親族はもとより、教授、友人、ほぼ全ての人達から猛反対を受けるようなことだった。
思えばそのあたりから感覚は麻痺していたのかもしれない。
1998年に同社に入社するも、根性試しとでも言おうか、私からすれば無意味だと思えるような名刺獲得ノルマについても全て無視して、自分が価値あると思える仕事にのみ取り組んだ。
その後、社内でもそれなりの評価を頂き、子会社の社長や主力事業部のリーダーに抜擢いただくも、2003年には独立起業の道を選択。
その時も親族含め多くの人から「もったいないから辞めない方がいい」「なぜ出世ラインのど真ん中にいるのに辞めるんだ」と言われた。入社時に入社することを反対していた人達さえもが、今度は辞めることに反対するのだから、もはや笑うしかなかった。


起業後も、土地勘のあるアナログ人材ビジネスからインターネット企業へと転換する決断をする際にも、高収益のアナログ人材ビジネスを残すべきではないかという多くの意見を全て突っぱねて、売上が一時的に落ちようとも、完全にインターネット企業へと転身することを決断した。周囲からはそういうパターンでうまくいった企業は見たことはないと言われたり、理想を追求しすぎるのがお前の欠点だと言われたりもした。

日本というのはほぼほぼ単一民族に近い国柄だからなのか、島国という特性なのか、村社会の名残りなのか、同調圧力が極めて高いという印象がある。多様性への理解がとんでもなく低いように感じる。

野茂やイチローがメジャーリーグに挑戦したときも、期待や応援する声よりも批判する声が多かったように思う。中田がセリエAに挑戦したときもそうだったように記憶している。

私がそんな状況下であっても、多少なり人と異なる道を選択し、ここまでやってこれた背景には、USENの宇野さんやサイバーエージェントの藤田さん、DeNAの南場さんといったファーストペンギン的な先輩起業家の存在が極めて大きい。

会社組織においても、自分の経験や知識を超えた挑戦やアイディアはなかなか理解できないもの。つい批判したり否定したくなる。しかし自分が理解できないことを、受け入れられない組織においては、イノベーションは生まれない。

アトラエが目指すフラットで民主主義的な組織というのは、決して多数決で物事を決めるような保守的な組織ではなく、個性や異端を許容し、多様性を武器とし、多数決ではなく、最適な知見や経験を有する人が勇気と責任を持って意思決定するような組織であり、共に信頼しあいながら一つのビジョンの実現に向けて切磋琢磨できるような組織だと思っている。

すでにアトラエそのものが他の組織とは違う道を進んでいる。
当然失敗すれば叩かれることも多くなるし、今までもそんなやり方はうまくいかないと言われ続けてきた。
それでも自分達が信ずる道を選択し、ファーストペンギンとして次世代の理想となるようなビジネスチームを構築していくこと、それこそが「世界中の人々を魅了する会社をつくる」というビジョンに込めた想いである。

一部上場したくらいで成功したつもりになって保守に回ったり、大多数が常識だと言うような道に安易に流されることなく、常にアトラエらしく、そして常に挑戦者であり続けたい。

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