経営者にとって、社員の教育・育成というのは常に大きなテーマである。

今日は私の教育・育成に関する考え方について書いてみたいと思う。


世の中には「ベンチャー企業は教育制度がないから成長できない」「まずは大手でビジネスパーソンとしてのベースを・・・」というような考え方を持っている人が多いのではないだろうか。


個人的には全くそうではないと思っている。


確かに教育制度やトレーニングプログラムなどで学べることもあることは否定しないが、それが重要なのではない。


私が尊敬する経営者であるインテリジェンス鎌田社長は、私が会社を辞めるときに「ここまで成長できたのは鎌田さんのおかげです」と言ったところ、こういうコメントをくれたのを今でも覚えている。


「人を育てたり、人に何かを教えたりなんて、そんなのはおこがましいし、そんなたいそうな人間ではないよ。自分がやってきた唯一のことは、お前の可能性と意欲を見抜いて、それを活かせるチャンスと環境を与え続けただけだし、優秀な奴はみんな勝手に育つんだから、その芽を摘まないように、その人の可能性や器を見抜いて、より伸ばせるポジションやチャンスを提供することことが経営者の仕事だと思う。」


非常に共感を覚えた。

私自身、インテリジェンスでは本当に様々なチャンスを与えてもらってきた。
おかげで素晴らしい経験をさせてもらい、まさにその経験が今大きく生きている。


ビジネスマナーや財務、マーケティング、マネジメント、それらは全て知識と実践の掛け算の中で身につけていくものであると思う。

本もビジネススクールもたくさん存在する現在においては、知識面においては会社の教育制度になんか頼る必要は全くない。

会社はまさに実践の場所であり、知識やノウハウなどは本からでも、外部の人からでも、どんどん吸収すればいい。


厳しい言い方をするようだが、多くの人は「大企業に入ればある程度の水準までは育ててもらえる」という甘えなのではないだろうか。
そう考えている人が優秀なビジネスパーソンとして成長することはまずないといってもいいかもしれない。

事実、同じ学歴、同じ社歴を持った大企業の社員でも、転職する際には大きな市場評価の差が出てしまうことが多々ある。


私は上記のような考えから、経営者として社員への教育・育成の一番の方法は、その人のポテンシャル・意欲を的確に見抜き、それを最大化できるチャンスやポジション、テーマを提供することだけだと思っている。

だからこそ、弊社は中長期的には様々な事業展開を想定しているし、ある意味多角化していくことを目指している。
極端に言えば、子会社化や社内カンパニー化を積極化していくことで、コングロマリッドカンパニーとなっていくくらいが、人の成長のためには望ましいのかもしれない。

まさにポテンシャルの高い社員に対して、積極的にチャレンジできる機会を与えていくことこそが、私の考える教育であり、ベンチャー企業で働く本当の魅力かもしれない。