最近いろんな場面で交渉をしないといけないケースが多い。

そんなことから、ふと交渉の方法論や戦術について考えてみた。


交渉と言うと一般的には交渉に勝つとか負けるという発想を持つのではないだろうか。

この発想は、片方が勝てば、片方は負けだという認識からきているのだと思うが、実際の交渉の場面ではこの発想自体が大きな失敗につながるから注意が必要である。

Wikipediaによれば、交渉とは、

交渉は利害関係が生じている中で得るために行われる対話、議論、取引である。その目標は相互が受け入れることができる諸条件を導き出し、それに合意することである。したがって基本的に交渉はお互いに利得が得られるウィン・ウィン(win-win)の関係となるはずであり、利害が不一致となればその交渉は失敗となる。

ということらしい。

勿論ゼロ交渉と言われるような全体の利益が限定的で、その利益を分け合うような交渉もあるため、一概に両者の利益が対立しないわけではないが、基本的にはウィンウィンとなる着地点を見出すことが交渉の唯一最大の目的である。

その方法論はまた別の機会にするとして、多くの会社とお付き合いをする中で、交渉の意味を取り違えている会社が多々見受けられる。


我々のようなエージェントはともすると業者として見られることもなくはない。
そうなってくるとFEEの交渉も含めて、やりとりの中で高圧的な交渉を強いられることもしばしばある。

FEEが安くなれば嬉しいのはどの会社でも同じであり、交渉されること自体は当たり前だと思っているが、その交渉の仕方に会社としての風土や考え方、価値観などがモロに出る。

とにかくまけさせれば勝ちだと思って、高圧的な態度で交渉してくる人が多いが、そういう会社とは一切取引はすべきではないと思っているし、そういう会社を転職者に強く推すこともできない。


会社組織として社会で生きていく以上、あらゆる人に配慮していく必要がある。あるときはライバルであったり、下請けだったりしても、あるときに顧客になったり、発注元になったりすることは良くある話。


以前にとある会社を転職者の方にご紹介した際にこんな話を聞いたことある。

「前職で取引をしていたことがあって良く知っている会社なんだが、取引の仕方や交渉があまりにも利己的かつ一方的だったこともあり、自分としてはそういう会社で働くことにプライドが持てない」


やはり一事が万事であり、社会の中で生きていく以上、全ては自分や自社に跳ね返ってくるということを理解する必要がある。

弊社の行動指針(バージョン1)でもあったが、全ての行動にプライドを持たないといけないなと改めて感じる次第。

交渉術は社風がモロに出やすい。

レベルの高い真の交渉術とは、自身のおかれた立場を利用して高圧的かつ自分に優位な条件を引き出すことではなく、両社の目的を理解し合い、両社の目指す方向の中で交わるところをディスカッションの中で見出すことである。

こういう交渉が出来ている会社や個人は、恐らく交渉成立後も継続して信頼関係が保てるし、さらには信頼関係が深まることも多いにある。

弊社もかなりいろんな会社と好条件でパートナーシップを組ませて頂いているが、どの会社に対しても恩を仇で返すようなことはしていないつもりであり、先方にも別の形でメリットを提供したりという、ウィンウィンの関係を常に意識いしている。

それこそが我々の大事にしている価値観でありプライドだと思っている。

とはいえたまに無茶なお願いをしていることもあるが・・・。

大事なのは自分が強い立場だとしても高圧的かつ一方的な利益を得るような着地点となる交渉は長期的に自分達の首を絞めるということ。

では戦略的な交渉とはどうやって実現するのか、その手法や考え方については、またの機会に書くこととします。