組織によってカルチャーや統治スタイルが異なるのは、言うまでもないこと。

先日とある大企業に務める後輩の相談にのっていて、面白い話題が出た。

その彼はいわゆる広告系の大企業に勤めているのだが、彼らには組織内で部門をまたいだ連携や、顧客視点での窓口の一本化などができないことに大いに不満を抱いているという。

まあ確かにまっとうな顧客志向や経営視点を持っている人であれば、誰でもそういう不満は持つのも納得できる。一方でそれをどうしたら変えられるかという話しだったのだが、私としては「ほぼ不可能で、もしそういう組織にするなら評価の仕組みや統治形態自体を変えることが必要になる」と答えるにとどまった。


補足するとこういう意味である。

ある一定の歴史と規模感のある企業においては、どうしても縦の人間関係を重視した行動を取る風習がはびこりやすくなる。というのも得てして規模が大きい組織においては、経営的視点を持とうにも難しく、そうなると人は多少なり利己的に物事を考えるようになっていく。つまるところ出世や昇給といった自分個人にフォーカスしたモチベーションが芽生えやすい。となれば、その為のキーファクターになる縦の人間関係が強く意識されるのは極めて自然なことだろう。

逆に横の関係、つまり部門や事業をまたいだ連携や、同期との連携などは、多くの場合出世や昇給と直接的に関係しないことが多く、どちらかというと競争相手に近いイメージだったりする。当然ながら全力で協力するという動機が芽生えづらいのも仕方ないのではないかと思う。

つまるところシステマティックに評価や昇給を決めている組織においては、どうやっても縦の関係が重視されやすくなり、横の関係がおざなりになりやすいのは仕方ないことで、それを変えようと思ったら、評価の仕組みやカルチャーを根本から変えるしかない。

出世欲や昇給欲も、一つのモチベーションのファクターとして持ってることは決して悪いことではない。ただその評価の仕組みや引き上げる仕組みが官僚的だったり封建的だったりすることが、縦の人間性ばかりを意識させる結果となるのだろう。

縦の人間性ばかりを意識している社員が多い会社は、得てして官僚的で古い体質の企業だといえるかもしれない。

うちくらい小さい組織だと、縦といっても役員と社員の2階層くらいしか存在しないし、横といっても同期も1人、2人しかいないので、そもそも全く関係ない話しだけど。。。