Facebookなどでも投稿している通り、年明けから4月くらいまでがベンチャー企業にとって新卒採用活動のピークになるケースが多く、我が社も現在そのまっただ中。

弊社が初めて新卒採用活動を始めた7年前から比べれば、時代は変わったのだろうか。

何せ弊社のような無名でまだ何も成し遂げていないようなベンチャー企業の説明会に、東大やら京大やら、東工大やら阪大、神戸大、はたまた早慶上智、関関同立などの偏差値の高い学生が沢山参加してくれる。

そういう意味では少しは変わったといってもいいだろう。

私自身は1998年というインターネット産業もほとんど生まれたばかりのような年代で、リクナビもマイナビもなく、当然ながらGoodleもFacebookもないような時代に就職活動をして、インテリジェンスという会社を選んだ。

当時上智大学の理工学部という非常に中庸な学歴ではありながらも、無名で100名ちょっとの企業に就職するなんていう行為は気違い染みた行為だと多くの人に説得された。親はもちろんのこと、親戚、友人、教授までが反対する始末。

自分の人生は自分で切り開くというポリシーを持つ私としては全く動じることなく意思決定したのだが、その後6.5年を前職で過ごさせて頂く中で組織は株式上場し、1000人規模の組織へと成長。私は若くして子会社社長を務めたり、主要事業のリーダー的ポジションなどを任せて頂くなど、高く評価を頂いた。

入社した当初、心から心配してくれていた人達もその経緯を見るにつれ、ポジティブに評価をしてくれたり、ある意味羨ましがられることが多くなった。

そんなタイミングで、また起業をするという世間一般的に見れば気違い染みた行動をとることになる。
元々インテリジェンスに入社することを反対していた人達が、今度はインテリジェンスを退職して起業することに対して全力で反対するという面白いことが起こった。せっかく得た安定やポジションや経済的な対価を放棄するのか、ということらしい。

その時に私は結局結果論でしかないのだと理解した。

人の踏み荒らした道しか歩けないタイプの人は、人生常に不安と戦いながら、安全に安全に未来を見据えて歩いていくのだろう。それはそれで人の価値観なのでいいと思う。一方でその道を切り開くタイプの人は、常にそういう人達から非難され、批判されるのは避けられないのだと。


また書きすぎると反論や批判も多いかもしれないが、誤解を恐れず、少し極端なことを書こう。

人々の転職やキャリアに関わる仕事を長くしてきている私の実感値と、理屈的に考えた上での意見として、大企業への就職が勝ち組でベンチャー企業や中小企業への就職が負け組なんていう発想自体があまりに非合理的でナンセンス。

私は無名のベンチャーに就職し、その会社が有名になった時点で再度無名のベンチャーを起業して、いまだ特に大きな成功は成し得ていないが、確実に市場においては勝ち組だと自負している。別に転職先が沢山あるという意味ではなく、生涯稼いでいける自信も人脈もノウハウも有しているし、何よりも自分自身の未来に一切の不安はない。


確かに高度経済成長期に日本を支えてきたのは金融業や鉄鋼業、製造業などであり、彼らの存在が今の豊かな日本を創り上げてきたことには疑いの余地はない。日本には世界に誇る素晴らしい大企業が沢山存在しているとも思う。

その一方で既に日本経済は大きな転換期を迎えている。
それ自体、もう数十年前からわかってきたことである。

アベノミクスなどによって金融市場的には少し盛り上がっているが、経済成長という意味では人口動態が少子高齢化に向かっていることを変革できない限りは右肩下がっていくのは自明であり、なおかつその要素の改善には20〜40年というスパンを要する。つまり当分は日本経済はなだらかに右肩下がりで推移していくと考えるのが当然だろう。

そんな時代において、過去の右肩上がりの経済成長を遂げている時代の古く誤った安定基準や固執した価値観を、これからの日本の未来を背負う未来ある若者に押し付けることだけはしてはいけないと思う。

私自身、高度経済成長を成し遂げて来た方々は心から尊敬する。そういう方ともお会いするが、一様に素晴らしい含蓄をお持ちで、多くのことを学ばせて頂いている。私の親族にも普通の企業で普通にサラリーマンとして勤め上げながら、幸せな家庭を築き、家族を支えてきた尊敬できる人生の先輩が何人かいるが、いろいろと学ばせて頂くことは多い。


それと自分達の時代の価値観、自分の価値観を未来を担う若者に押し付けることとは異なる。バブル崩壊や社会保障の問題、国の借金の問題など、多くのマイナスを若い世代に残してしまったことも事実であり、過去の栄光ではなく今現在直面している現実に向き合うことのほうが重要だろう。

弊社はまだ20人ちょっとの雇用しか生み出しておらず、納めている税金も社会に与えている価値もたかが知れているので偉そうな事は言えない。
しかし少なくとも日々寝る時間も遊ぶ時間も削りながら、本気でビジネスに取り組み、新たな市場を切り開き、新たな雇用を生み出し、日本の企業として世界へ進出し、少しでも日本経済を立て直す一翼を担えればと思っている。また私の周りにも同じようなことを考えて、日夜努力されている心から尊敬できるベンチャー企業経営者が沢山いる。

もともと私は前職で子会社を立ち上げた2000年当初から、日本国全体の人材のアロケーションが歪んでいる旨を様々な方法で全力で指摘してきた。それが理由で多くの大企業の方々からは批判も頂いた。

当時の企業名はIncite Partners,Inc.という社名で、

Incite
(怒り・好奇心などを)起こさせる,かき立てる
(人をある行動に)駆り立てる、扇動する

というような強い意味を持つ単語を使っていることからも、その主旨が理解頂けると思う。

もっとそういう会社に優秀な人材が流れる世の中にしていかなければいけない。心からそう思ってきたし、今でもそう思っている。ゆえに現在のI&G Partnersという社名の「I」には前職時代のIncite(駆り立てる、扇動する)の意味を含めた。


日本国という会社の経営者として見れば、東大、京大を始めとしたポテンシャルある学生達がこぞって仕組みの出来上がった大企業に就職すること自体が国際競争力を失い経済発展を妨げる典型的な経営判断ミスであろう。

日本はちょっと賢い人が飯も食えないような国ではない。
なのに高学歴で相応の自信もある人達が何をリスクだと思うのか。

近い将来、社会保障が崩壊することが見えているような国で、長期的に働かざるを得ないのが今の若者である。生活の糧を効率的に得るために、仕組みある企業での就業を志すことも一つの選択であることは否定しない。しかし社畜という言葉があるが、場合によってはその選択こそが最も自分の人生の充実度を阻害するリスクになりかねないことも考えるべきだと思う。

そしてもし自身が効率的に生活の糧を得るために仕組みある組織への就職を望んだとしても、一部の意欲ある若者が、生活の糧のためではなく、一つのライフワークとしてビジネスに取り組もうとする姿勢や、それに見合った未成熟な組織を選択することを否定するのは、あまりに無知でありナンセンスだと思う。

野茂やイチロー、カズや中田など、人々をリードする人達は常に多くの批判を受けてきた。
それでも彼らが切り開いた道は素晴らしく価値がある。

ソフトバンクの孫さんや楽天三木谷さんや元ライブドアの堀江さんなども、荒々しいところは多々あるのはその通りかもしれないが、彼らがこれからの日本を切り開いていこうとしていることを批判したり妨害したりしていたら、本当に日本の未来はないと思う。

やっとここ数年、JALやSHARPなどの報道によって一部の学生がその本質を見抜き始めている。
ここでその目を摘まないでほしい。
大企業はほっておいても多くの学生が入社する。それが日本の国民性なのかもしれない。
しかし日本の未来にはベンチャー企業がもっと活躍しもっと雇用を生み出し、新たな市場を創り上げていくことが必要なのは間違いない。そこに興味を持ち始めた一部の人達を是非応援してあげてもらいたい。

ベンチャー企業に入社を決断する学生の多くは高学歴ゆえにご両親や親族からの猛烈な反対に合い、それを必死になって説得し口説いて入社してきている。もちろん子供を心配するがゆえのことだとは思うものの、真っ向から否定することはせず、まずは対話し相談にのってあげて頂ければ嬉しいことこの上ない。

私自身も今では(もう38歳なので当たり前だが)親も心から応援してくれているが、当初は必ずしもそうではなかったので、家族と会う時には仕事のちょっとした愚痴さえ一切言わないように気を張っていたことを覚えている。
しかし結婚相手を選ぶ時と同様で、働くことについても誰もが家族(親)にだけには心から応援してもらいたいと思っているはず。

少しでも日本のベンチャー企業に優秀な若者が参画し、それによって日本国全体をポジティブにすることに微力ながら貢献できれば嬉しい。