今まであまり詳細は語ってこなかった成長企業やベンチャー企業への就職に関する私なりの考え方を書いてみることにします。

成長企業を中心として4000社を越えるクライアントを抱える弊社としては、あまりお得感のないブログテーマではありつつも、昨今の学生の就職活動における軸の考え方、成長企業・ベンチャー企業の見極め方などがだいぶズレていることを危惧し、思い切って書いてみることにしました。

なおあくまでも学生が初めて社会人として就職する先として考えた場合のことにフォーカスして書きますので、転職活動をする人は自己責任でお願いしますm(__)m

また成長企業、ベンチャー企業への就職を考える上で、成長意志やビジネスへの情熱は一定持っていることが大前提であり、さらに発展途上の荒波を乗り越えて何かを成そうとする意欲と潜在能力のある学生のみにフォーカスして記載します。その点だけはご了承下さい。

逆にそうでない学生にとっては、社会に価値を生み出す仕組みを既に有しているような成熟した業界に身を置く定規模の企業を選択する方が幸せな社会人人生を送れる可能性が高いと思うので。



前置きはこのくらいにして、成長企業・ベンチャー企業を就職先として考える時に、まず絶対的にはずしてはいけないMust条件は以下の5つに絞られると考えます。


Point1 会社が実現しようとしていることに心から共感し、長期的に熱中できそうか?
これは運営する事業という意味ではなく、実現したい想いやビジョン、理念などを見るべきです。特に成長途上の企業の事業内容は移り変わっていく傾向が強く、その事業領域全般ならまだしも、1つの事業にコミットすることにはそれほど意味はありません。

Point2 社員達はその会社が実現しようとしていることに本当に熱中しているか?
まともな会社であればどこでもある程度社会性のあるVisionやMissionを掲げているものです。
但しそれをどの程度本気で考えているか、どの程度本気で取り組んでいるかは、どの程度全ての社員にまで浸透しているかは、組織ごとに相当程度の差があるため、ここは徹底して確認しないと上っ面だけのVisionに共感して入社してしまうことになりかねません。

Point3 将来性のある事業領域、成長していく事業領域を選択しているか?
少し戦略的な話しですが、ビジネス人生は約40年、今の学生さん達だと50年近くになると思います。その期間で衰退していく領域でビジネスをしてしまうのは得策だとは思えません。これからどんどん発展し、未来を担う産業を創造していくことができる領域に身を置くことで、未来の選択肢や自身の市場価値を高めることが可能になります。

Point4 経営陣の持つ能力・人間性・価値観は尊敬・信頼できそうか?一流だと思えるか?
ここは正直学生には難易度が高すぎるので、まずはネガティブチェックだけでいいと思います。というのも経営者は経験豊富な人が多く、学生だと丸め込まれてしまう危険があります。もちろん社長や経営陣がイケてない、と思ったらやめておくこと。その時は特に人間性や価値観が大事です。
なお経営陣を見極めるには、次のポイントでもある社員を見極めることで、ある程度担保可能です。

Point5 社員達の持つ平均的な能力・人間性・価値観は尊敬・信頼できそうか?一流だと思えるか?
経営陣がいくら本気になっていても集めている社員のレベルが低すぎれば、そのVisionやMissionは絵に書いた餅で終わってしまうでしょうし、自分の成長においても共に切磋琢磨する仲間のレベル感は極めて大事です。サッカーチームに例えるなら、世界一を目指している草サッカーチームに入っても難しく、やはり一流の選手が集まっているチームに行くべきで、そのチームには一流の選手が集まる理由があるものです。

これらの5つのポイントを自分なりにしっかりと見極めることが大事です。
20年以上も生きてくれば、自分の人に対する勘もそれなりに磨かれているもの。
自分なりの勘を信じることも大事だと思います。


また結構後々に「こんなはずじゃなかった」ということがなくするには以下の点でも見極めてみると良いと思います。ちょっと難しいポイントでありますが、私の子供がもし就職するとしたら必ず見極める点だと思います。

Point6 労働生産性の限界値が低い事業に依存していないか?
労働生産性の低さはそのまま給与水準の限界として跳ね返ってきます。成長途上の企業やアーリーステージの企業であれば、当然当初は低くても仕方ない面は一定あるものの、事業構造上、長期的に労働生産性に限界が発生しやすい場合には、長期に渡り給与水準の上昇が期待できないことも多くあります。
利益率や単価の低い商品やサービスを中心とした営業会社などはそういうケースが少なくありません。

Point7 離職率が高すぎないかどうか?
一定の離職率があることは成長企業においては健全な側面もあるとは思うものの、高すぎる企業も少なくないのが実状。競争に負けた人や頑張ることに疲れた人だけが辞めていっているだけならそれほど気にしなくてもいいかもしれないですが、離職率が高い企業は外から見えないリスク因子を持っているケースが多いです。見えないリスクを確認するためにも、離職率や離職理由を確認してみるのが良いと思います。


以上、全部で7点が大事な見極めポイントです。

逆にベンチャー企業に就職することを選択した以上は、現在の規模感や現在の売上などは大した判断材料にはならないかなと思います。小さすぎたり、スタートアップすぎるのは確かにリスクは高い面は否定できないですが、本当に上記7ポイントに共感できるならリターン(得る経験や早期に経営参画できるなど)の魅力も大きいはずですし。

あまりに小規模な場合は財務状況くらいは確認してもいいかもですが、これさえも本当に危なければ優秀な社員が定着して意欲的に働いているわけもないので、そっちで担保してもいいかなと思います。

ちなみに決して自分達が小さいゆえのポジショントークではないので誤解なく(^_^;)


最後に、

多くの学生さんがベンチャー企業やスタートアップ企業を就職先として選択すると、ご両親や学校の先生、友人から反対されるものです。勿論その子のためを思って言ってるのですが、多くの方々は現在の就職市場や転職市場に関する最新情報やトレンドを理解していないケースが多くあります。

私自身1998年当時に尖ったベンチャー企業を選んで就職した際には、親は勿論、教授も友人もみんな反対しました。しかし2003年にその会社を辞める時も同様にみんな反対しました。その会社が成長し、それに伴って評価してもらったことによって自分自身の立場や給与が若いながらに著しく高くなったためです。

しかし私自身、周囲の反対をよそにその立場を捨てて起業しましたが、今も最高にエキサイティングなビジネス人生を送ってきたと自負しています。

もちろん親身になってくれる両親や友人が悪いと言ってるわけではなく、就職というのは結婚と同じように、親や友人が薦めた相手だから幸せになれるというものではないということ。いろんな人のアドバイスには耳を傾けつつも、最後は自分で決断するしかないのです。

そしてその決断を正解にする努力をするのも自分でしかないのです。

また勿論ですが、今までお世話になってきた家族にはちゃんと理解し応援してもらいたいもの。
逆に家族の説得ができるくらいの情熱や能力がなければ、そもそも就職しても道半ばで心が折れてしまうのではないかと思ってしまいます。


日本全体の人材のアロケーションを考えた時に、もっと多くの意欲的な学生が成長企業、ベンチャー企業に飛び込んできてくれることを期待したいと思います。