2日連続の猛暑日が続き、いよいよ夏を迎えようとしている今日この頃、皆さんどうお過ごしですか。

私が1998年から主張し続けているのは、今の日本においてセットアップのスーツはありえないということ。33度の猛暑日で、都心部はアスファルトのお陰で体感温度は40度近くまでなるという中、長袖シャツにスーツ上下なんてとんでもなく非合理的だと思う。

もちろん冷房の効いたオフィスから車で冷房の効いたオフィスに移動するだけのエグゼクティブや外資金融マンであれば猛暑だろうとピンストライプのスーツをビシッと着こなすことも可能だろうが、電車から電車を乗り継いで外を歩き回る営業マンにとってはそんなことは100%ありえないわけで、スーツもよれよれ、ワイシャツは汗でびちょびちょ、40代ともなると汗の匂いも若い頃とは違って臭いのなんの、結果として出来るビジネスマンどころか、とんでもなく迷惑で無様な状態になってしまいがち。

そんなことを言い続けきて早17年、ベンチャー企業を中心に少しずつながらポロシャツやら、Tシャツやらでも快く受け入れてくださる企業も増えてきたように感じる。


とどうでもいい話が思ったよりも長くなってしまったが、今日書こうと思ったのは、社会人としての成長って短期間だと体感しずらいよ、ということ。

4月に入社したばかりの新入社員の皆さんのほとんどが、今頃自分がイメージしていたかっこ良くて出来る社会人像と現実との乖離に苦悩したり、焦ったりしているのではないだろうか。

恐らく弊社の新入社員達も多少なりともそういう感覚はあるような気がする。

しかしそんなのは当たり前で、社会人としてまだ4ヶ月目。
そんな簡単に成長できるほど、誰にでもできる簡単な仕事ばかりではない。
今はまだ誰にでもできるような雑用やら、修行僧のような訓練や勉強を繰り返し、少しでも早く一人前のビジネスパーソンになるべく努力する以外に道はない。

組織の成長に貢献できることの中で、もっと自分がやりたいことがあるということであれば、その欲求を持つこと自体はすごくいい。
でも今の自分にそれがやれるのかをちゃんと自問自答しなければいけない。
そしてやれないなら、今やれることで少しでも貢献しつつ、将来やりたいことで貢献できるように努力をしていくことが大事。

もしもっと貢献度が高いことができるはずなのに、理不尽な理由でやらせてもらえないということなのであれば、これは徹底交渉するなり勝手にやってしまうなりすればいいと思う。でも多くの場合は自分で思っているよりも自分ができないということ。

背伸びをすることも大事だし、欲求をもつことも大事だし、焦ることや向上心を持つことも大事。
でも楽しく働けていないことを外的要因のせいにして、地道な努力の積み重ねや日々の業務を単なる無駄な作業だと思って働いている人は絶対に伸びない。


女子サッカー界のレジェンドと言われる澤がなでしこジャパンの補欠としてベンチ入りしたのは周知だが、そこでの彼女の献身的な働きぶりに注目した人はそれほど多くないかもしれない。私は彼女がハーフタイム直前にすっとベンチを立ち、ドリンクやタオルを用意していたのを見て、本当に凄いと思った。そこには年齢もなければ立場もなく、なでしこジャパンのメンバーとして本気で勝つためにその瞬間に自分ができることを考え実行しているだけなのだろう。
そしてもちろん彼女はピッチに立ちたいはず。ただ自分が出たいという思い以上に、チームとして勝つこと、そしてそのための現時点での監督の判断や、自分の代わりにピッチに立つ選手を信頼しているのだろう。

本当になでしこジャパンから学ぶことはとても多い。
一部決勝戦での大敗に対して監督の采配をバッシングするような輩もいたようだが、正直そんな声は無視していいと思う。勝負の世界だから勝敗が大事なのはもちろんだが、そこに向けた一切手抜きのないコミットメントがあった以上は賞賛してあげるべきだと思う。


また話が脱線したが、自分が楽しい楽しくない、やりたいことをやらせてもらえない、もっとクリエイティブなことをやりたい、そんな甘い考えは一旦忘れて、社会人として自分が選んで加わったチームの成長のために、今の自分は何ができるのか。そして近い将来どういう貢献をすべく、どういう努力をしていくのか、考えることが大事なのではないか。

社会人としての成長はとんでもなく大きな巨人専用の階段を登るようなイメージだと思う。
努力していても努力と比例して成長していくわけではなく、階段のようにずっとまっ平らな状態が続いているかのような感覚が続き、それでも諦めずに頑張っているとふと見える景色が変わる。つまり階段を一段登っているような状態になる。そうやって段々に見える景色が変わっていき、自分が出来る範囲や扱える領域が増えていく。

そしてある程度のレベルに達すると、職務や作業の一つ一つが楽しい楽しくないということよりも、自分達がコミットした目標や価値の創造が実現できるかどうか、どうやったら実現できるのか、そこへのあくなき挑戦自体を楽しめるようになるような感覚がある。

しかも階段をある程度登ってくると、今度はとんでもなく難易度が高かったり、とんでもなく責任が重たいような仕事が望む望まないに関わらずに集まってくる。努力の末に信頼を勝ち取った人には、それに見合った責任や裁量が与えられる。その責任や裁量は加速度的に高まっていくもの。


もちろん私自身も新入社員の頃はそんな大きな階段だったなんて気づくわけもなく、何度も腐りかけ、何度も努力することを放棄しようとした経験がある。責任も裁量も全くなく、努力すれば責任も裁量も加速度的に高まっていくなんていう話は辞めさせないための嘘だとしか思ってなかった(汗)。


それでもいろんな先輩のアドバイスによって気づかせてもらえたからこそ今がある。
そして私自身が40歳になり、今度は伝えていってあげなければいけない立場になったのだと認識している。

どんな仕事でもその仕事の目的や必要性をちゃんと理解し取り組むことで、見える景色が変わり、自分がとんでもなく大きな階段を登っていることに少しは気づけるはず。

新入社員の皆さんには、自分が本気で考え抜いて選んだ道をそんな簡単に諦めないでもらいたい。
そして一見楽しそうに見える隣の芝は、決していつまでも青くはないということの本質を良く理解し、小さな努力の積み重ねの上にとんでもない成功があることを意識して頑張ってもらいたい。