経営者としてビジネスに接していると日々様々な決断を迫られる。
しかもそのほとんどにおいて明確な正解や答えなど存在していないとくるから厄介この上ない。

私自身は26歳から経営者としてビジネスに関わってきたこともあり、そんな難しさや厳しさに幾度となく直面してきた。そのせいか、自分なりに何か拠り所が欲しかったのだろう。当時は数多くの意思決定理論の本を読み漁ったことを思い出す。


気付けばその頃から16年もの年月が経ち、いろいろと成長したのかもしれない。

意識して振り返ってその変化を検証すると、最近の意思決定においては経済合理性という判断軸以上に、長期に渡る人と人との信頼関係の構築や、倫理観や道徳観などといった定性的な判断軸を重要視するようになってきたように思う。


話しは変わるが、先週ウクライナ元大統領のホセ・ムヒカ氏の訪日に関する報道をテレビで見る機会があった。彼の主張は本当に人の本質を突いていると思う。


記憶ベースなので言葉尻は少し異なるかもしれないが、彼のこんな言葉が記憶に残った。

「消費欲求を満たすためにどこまでいっても稼がなくてはならず、そのために人生で大切なことを忘れ、時間を消費してしまっている不幸せな人が日本には沢山いる。」

「生き甲斐をもって働くことはとても素晴らしいこと。その場合は必ず世の中に価値ある何かを残すべきである。」



昨今、ビジネスの世界ではキャリアや市場価値というワードが飛び交うが、実は専門性やノウハウなどよりも、その人が獲得してきた信頼の質と量の方が価値があるのではないかと思ったりもする。少なくとも私の周りの優秀なビジネスパーソンに共通しているのはまさにそのあたりだと思う。


個人だけではなく法人、つまり会社組織としても時価総額や売上や利益の追求以上に、顧客や株主やビジネスパートナーからの信頼をどれだけ獲得できるかが、何よりも大事な気がする。その総和こそが本質的なその組織の価値であり、資本主義という完璧とは言い難い市場経済の論理を超えた、あるべき姿なのではないかと思う今日この頃。

ということでこれからもアトラエは、世の中の少しでも多くの人から応援してもらえるような魅力ある会社を目指します!