毎日毎日、本当に身近なところで多くのイノベーションが起きている。
人はなかなかそれをイノベーションだとは認識できない。

さらにいえば、その中の人になってしまうと、いよいよ自分達の未来さえも見えなくなってしまう。
水の中にカエルを入れて少しずつ火力を強くしていくとカエルは気づくことができずにゆでガエルになるという話は有名な比喩だが、まさにそういうことのなのだろう。


銀行や保険会社、テレビ局などが未だに就職活動で人気があるのは何故なのだろうか。
米国ではGoogleが就職人気でもおおよそTOPクラスにいるのに対して、日本でSoftBankや楽天やDeNAやサイバーエージェントは就職人気ランキングでTOP100にさえ入らない。

この20年で日本のおかれている経済環境は大きく変化を遂げている。
GDPは右肩上がりから完全なる横ばいに。その背景には少子高齢化があり、さらにグローバル競争時代の到来により、いよいよ本格的な資本主義、つまり自由競争社会へと大きく様変わりした。

SHARP、東芝と昨年から新聞を賑わせていることからも、いい加減気付く必要がある。世の中は大きく変わってきているということに。
銀行は合併を繰り返し、もはや昔の銀行名さえも思い出せないほどだし、保険会社に至っては全ての名前を並べた奇妙な社名になってしまっているし。。。社内椅子取りゲームの椅子はすでに先輩達の順番待ちであり、これからの若者には部長の椅子さえも空かないのではないか。さらに日本の生命保険加入率は世界でもトップレベルで市場規模も世界一だと聞いたことがある。これから人口の減っていく日本でこれ以上生命保険の市場が伸びる可能性なんてないし、何を目指してその会社で何十年もの長い社会人人生を過ごすのだろうか。

銀行もいよいよスマホで全てが完結する時代であり、近い将来貨幣さえも使わない情報決済時代がもう目前まで来ているわけで、地銀や信用金庫を含めて今ほどの数の銀行が残っていられるとは到底思えない。だったらFintechの成長企業にいった方が未来におけるビジョンは描けるのではないか。

テレビ局においても、規制で特別に割り当てられた放送網という土管を保有し、その土管を通してコンテンツをお茶の間に届けることで成り立ってきたわけだが、これだけインターネット網が張り巡らされ、高速化するといよいよ土管としての放送網の価値が大きく毀損している。そもそもニュースとスポーツ以外にライブで見たいというニーズがどれほどあるのだろうか。そうなってくるとHuluやYoutube、はたまたNetflixやAbemaTVとの激しいコンテンツ競争時代に突入する。従来の収益力を維持するのは極めて困難であろうことは予想に難くない。


少し強烈な言い方をしたが、事実そんな時代が到来しているにも関わらず、多くの若い人は未だにそれを認識しようとしない。

そもそも日本には偏差値社会で多様な生き方、多様な選択を認めない風潮が強い村社会的な側面がある。単一民族、島国、経済大国という特殊な環境のせいか、極めて閉塞的で周囲が良いというものが良いと考える傾向が強いように感じる。

自分の人生、自分の頭で自分の幸せや自分の生き甲斐を見つけていかなければ、これからの時代、誰も他人の人生に責任なんて持てない。それどころか頑張っていても自分の人生がどうなるかわからないような混沌とした世の中であり、経営者さえもいつまで経営を任せてもらえるかわからないような時代に、雇用の保証も何もあったものではない。

そんな世の中だからといって嘆く必要はないと思う。そういう変化の時代にあっても、活き活きと生きている人達は確実に存在する。やっと多数決では決まらない幸せのあり方が問われる時代になったということなのだと思う。

キングコングの西野さんはお笑い業界の未来が見えていたのだろう。かつてない方法で自らの社会における存在意義を見出している。私は極めて頭のいい方だと思っている。

もう過去の成功の方程式は成り立たない。新しい自分なりの成功の方程式を作っていくことでしか、自分の幸せな未来は存在しない。

就職活動をしている学生には是非とも自分の頭で考え抜いて、これからの社会人人生で、誰とどんなビジョンに向かって冒険をしていくのかを選択してもらいたい。面白くなき世を面白く生きて、日本の未来を少しでも明るくしましょう。