1998年くらいから次々に生まれてきたインターネットベンチャー企業と言われるスタートアップの企業が、今や楽天やサイバーエージェントやDeNAといった大企業へと成長している。

一方でテクノロジーやインターネットを得意分野とした企業群をインターネット業界と呼んできたわけだが、昨今インターネット業界という業界の枠組みがぼやけ始めているように感じる。

そもそも技術がコモディティ化しはじめ、PCに始まり、タブレットやスマホとデバイスも進化し、インターネットやテクノロジーは一部のリテラシーが高い企業や個人のためのものから、あらゆる企業や個人が日常の活動の中で使えるものへと移り変わりつつある。

そんな中でいよいよ小売や物流企業や製造業やサービス業、さらには金融業といったありとあらゆる業界で、テクノロジーやインターネット、さらにはAIやビックデータ解析が活用され始めており、インターネット業界という括りがもはや意味をなさなくなっている。

新規事業においても、1998年から2000年のインターネット黎明期では、思いつきやアイディアだけでも成功することが出来るような、まさにファーストムーバーアドバンテージが色濃くあったが、今となっては何らかの業界や業務において深く専門性や知見を有するなど、テクノロジー以外の競争優位を持った上で、さらにテクノロジーを活用することによってイノベーションを起こしたり、効率化を促進したりしていかない限りは、なかなか成功することができない時代に突入しつつある。

また差別化が不明確な事業モデルであれば、圧倒的な成長スピードでシェアを取り、ブランドを構築していくなどの、資本のレバレッジを活用した大人の競争手法を使わなくてはなかなか成功までたどり着けない。

なんとも新規事業作りが難しい時代に突入したものだと感じる。

一方であらゆる業界において専門的な経験を持つ人達と話していると、まだまだビジネスチャンスがあるように感じることが多い。そういう意味では、物流業界や小売業、金融業など、業界のノウハウや経験を持つ若くて意欲のある若者こそが、そのノウハウをもって技術に明るいパートナーと組み、業界を変革するビジネスモデルを立ち上げていくのが、最もリーズナブルな気がする。

なかなか旧態依然とした業界から起業するというのは簡単ではないとは思うものの、人と違う道を歩むことで、ある意味差別化をはかることができる可能性は高いのではないだろうか。

先日も、とある新規事業コンテストで三井物産出身の方々が創造されたビジネスモデルが優勝していたが、まさに既存事業領域にも多くの優秀な人材とビジネスチャンスが眠っていることを目の当たりにした。

日本ではもっと人材の流動性を高め、挑戦することを応援していくことが、経済の発展においては極めて重要な気がする。

そんな世の中において、弊社としては、上場企業ゆえの資金力や知名度や信用力を大いに活かし、HRTech領域を中心に新たな変革を起こすような新規事業に積極的に挑戦していきたいものである。