2018年も残すところあとわずかです。
今年も例年と変わらず本当にいろんなことがありましたが、大きな病気や事故もないまま、年末のこの時期を迎えられ、少しほっとしています。ソフトバンクのIPOでは未だ大きな含み損を抱えてはいますが、まあそれはそれとして・・・。


さて今年最後のブログは、会社と自分の関係性ということについて書いてみようと思います。

最近いろんなメディアからの取材や、イベントなどでの登壇の機会を頂き、組織作りやエンゲージメントを活かす経営についてお話をさせて頂いています。そんな中でいくつか気付いたこと、改めて実感したことがあります。

それは会社と自分の関係性についてです。

私は会社というのは資本市場において関わる人達が幸せになるための仕組みだと認識しています。そして同じ会社に人が集まる以上、当然ながらなんらか集まる理由があります。それがミッションだったりビジョンでしょう。個人でも会社員以上に稼げる世の中において、わざわざルールや規則があるような会社に属するからには、当然個人で何かをする以上に価値がある何かがそこにあるからであり、それがなければそもそも会社に所属すること自体、極めてナンセンスです。

しかしながら日本で働く多くの会社員にとっては、そういう感覚がないのが実態なのかもしれません。

経営者はわかりやすい。自分の属する会社を成長させ、価値を高めれば、当然ながら自分にも相応の見返りが得られることは容易に理解できます。では社員だったらどうか。多くのサラリーマン的発想の人は、自分の提供する労働力や知恵や成果といったものに対して、対価をもらっている契約関係だと捉えているような気がします。そうなると如何にして提供労力を少なく、獲得対価を多くするか、という発想になるのはある意味当然かもしれません。巨大組織であればあるほど、上手に搾取してやろう、経費を限界まで使い切ってやろうと思うのも、ぶっちゃけ至極合理的なのかもしれません。

しかし本来あるべき会社と個人の関係性というのは、利害が一致しないような関係ではないはずです。会社、会社といいますが、会社というのはあくまでも法的な箱にすぎません。そこに人が集まって初めて経済活動が発生します。つまり会社とは単なる人の集合体であり、そこに属する一人一人がその会社だという考え方の方がしっくりきます。

ただ一般的には取締役以上の人達、いわゆる経営陣と呼ばれる人達が会社で、自分たちは雇われている従業員という発想に陥りやすい。これは会社は株主のもので、株主から経営を任されているのが取締役であるという、ある種の欧米的な考え方が原点にあるのだと思いますが、私はこの発想自体が間違って理解されている、もしくはミスリードを生み出していると考えています。

そもそも万が一上記のような発想であったとしても、会社(経営陣)と個人(社員)の信頼関係が十分に築けていれば問題はありません。しかし多くの企業ではそれができていない。信頼関係がなければ、会社とは個人にとって単なる労使交渉の相手でしかなく、少ない労力で多くの対価をもらいたいと思うのは至極当然です。

だらだらとまとまりがなくなってきたので強引にまとめますが、大事なのは、会社と個人の関係性がどういう状態かということです。会社=自分達、と考えられるような人達の集団(=会社)は組織としてとても強い。会社の目的(=ビジョン)のために本気で、全力で取り組む人達が集まっているチームと、最小労力で最大対価を得ようとする人達が雇われているだけのチーム、どっちが強いかは明白です。

多くの経営者は社員はほっておけば働かない、サボるものと考え、指示命令を出し、管理しようと考えがちです。それは上記したような背景から、社員にとってはそうすることが合理的な選択だから、サボるのです。社員がワクワクするような、心底価値を感じるような目的(=ビジョン)を掲げ、その実現に向けて一致団結し、お互いの信頼関係を築くことができれば、誰もサボろうとはしません。なぜならそうなれば、その会社は自分達の会社だから。

福利厚生や評価制度など、ハードをいくら改善しても、上記のような根本的なところ、いわゆるソフトを改善しない限り、組織は強くはなりません。これらの要素をGoogleでは心理的安全性と言って極めて重視しています。我々の提唱するエンゲージメントという概念も全く同じようなことを意味しています。

言葉はともかく、改めてこういう先の見えない混沌とした時代だからこそ、また個人でも自由に働ける時代だからこそ、人が集まって何かに向かって努力することの意味を今一度考え、そのやりがいや楽しさを感じられる人が増える世の中になったらいいなーと思っています。

2019年、我々アトラエはPeople Tech Companyとして、テクノロジーで人の可能性を拡げるような事業を展開し、少しでもそういう世の中にできるよう、微力ながら社員一同尽力してまいります。

2018年は本当にありがとうございました。あと数日ですが最後まで頑張ります。
そして2019年もよろしくお願いします。

みなさま、良いお年を。
そしてMerry Christmas!!