俗に言う楽しい仕事と楽しくない仕事があるのではなく、仕事を楽しめる人と仕事を楽しめない人がいるだけであるという話。私も個人的にそれに近い考えを持っている。

弊社では社員のロイヤリティやエンゲージメントは極めて高く、多くの社員がビジョンとバリューに強く共感して働いている。しかしながらだからと言って手放しにみんな仕事を楽しんでいるかと言われると恐らくそうではないように感じる。


なぜか。。。


会社というのはなんらかの目的や目標を実現するために人が集まった、いわばチームのようなもの。つまり実現したいことが明確にあり、その実現に向けて一人一人が役割分担し、創意工夫、試行錯誤しながら前に進めていく。そういう時に、会社に対するロイヤリティが高かったり、性格が真面目であればあるほど、会社にとってやるべきこと自分が貢献できそうなことをやらなければいけないという意識が強すぎてしまう傾向にある。

そういう人は、もし自分なりにやってみたい仕事や挑戦してみたい仕事があったとしても、会社のためというマジックワードを武器に我慢してしまったり、諦めてしまったりする。


私自身は会社全体のために、個々人の夢や思いを諦めてしまうような会社にしたいなんて全く思っていないし、そんな状態で人が最高のパフォーマンスを出せるとも思っていない。

かといって会社全体のことをないがしろにして、自分のやりたいこと自分が成長できることしかやらないという人はチームの一員としては受け入れられない。


ではどうすべきなのか。

私は、自分が興味・関心のある仕事や挑戦してみたいことと、会社のビジョン実現や成長にプラスになることの重なる領域を徹底的に探したり、時には作り出したりすべきだと考えている。

ただ異動願いを出すとか、役割分担を変えればいいという単純な話ではない。

大切なのは、自分と会社がWin-Winになるような状況を作り出すべく、継続して諦めずに努力をすること。


例えば、企画やマーケティングに興味があるが、現在はセールスとしてそれなりに価値貢献している人がいるとする。そこですぐに異動を願い出ても会社としてはなかなか受け入れづらい。その人の抜けたセールスの穴をどう埋めるべきか、そもそも企画やマーケティングに異動してすぐに結果が出せるかどうもわからないのだから当然だろう。

そういう時にセールスで貢献しながらも、10%や20%の時間でマーケティングの改善案や提案書を3ヶ月ずっと出し続けたりすることで、半年後にはマーケティングとして価値貢献できそうだと判断されることは大いにあるだろう。

また自分自身がセールスとして走り回らなくても、より効果が出せるような外部パートナーを見つけ出すことでカバーし、それによって余裕ができた時間を使って企画に挑戦するということもあるだろう。

なんにしてもそういう動きをする上でも大事なのは、日頃から社内の仲間や上司から、根本的な信頼を勝ち取っておかなければ、何も実現できない。逆に言えば、十分な信頼関係があり、自分のやりたいことが会社にとってプラスになるというレベルまで考え抜き、その重なったところを見出すことができさえすれば、仕事に主体的に取り組めるし、嫌でも意欲的に働くことができるのではないだろうか。

大切なのは、自分のやりたいことと会社にとってやるべきことの接点を探し続ける努力をすること。もし存在しないのであれば、どうやったら重なりが作り出せるか、どうやったら自分がそれを担うことを認めてもらえるか、そこは簡単に諦めずに努力をする必要がある。

しかし私の周りには仕事を楽しんでいる人が多い気がするが、多くの人は上記のようなことをごく自然に、ごく当然のこととしてやっているように見える。仕事を楽しめていない人の多くは、そんなポジションや仕事は存在していない、存在していても自分よりも得意な人がいる、そもそも異動なんて難しいだろう・・・・などとできない言い訳をたくさん並べて諦めてしまっているように見える。

会社のために犠牲になるのではなく、会社を上手に活用し、会社で価値貢献しながらも自己実現することが大事。それができる人こそが、まさに仕事を楽しめる人である。


もっと具体的な例を一つ。

アトラエには現在広報専任のお母さん社員がいるが、彼女も中途採用で営業担当として入社し、出産を経て時短勤務で復職したタイミングでは、管理部門で苦手な数値管理を担当してもらわざるを得なかった。ただそこで諦めてストレスを溜めながら働き続けるのではなく、自分の興味・関心が持てて、アトラエにとっても今後必要となるであろう広報という仕事を見つけ出し(これは実が私が提案したのだが・・・汗)、その役割を自分が担うことの合理性を高めるべく徹底して勉強し、いろんな人脈を頼り、多くの人に相談しながら、アトラエでもっとも広報に詳しい人になっていった。

苦手でストレスフルな仕事に就きつつも、状況的に他に貢献できることがなく文句のいいようもない状態から、アトラエの広報専任という、自分が興味・関心を有する上に、強みも活かせる仕事に就くことができている。またその結果として、今までとは雲泥といってもいいほどに会社への貢献度も高まっている。結果として自分も仕事が楽しくなり、周囲の仲間からの評価・信頼も高まるという、正の循環がまわっている。

誤解を恐れずに言えば、誰もがもっと会社という枠組みを利用し、自分が楽しく貢献できる方法を見出す努力をすべきである。諦めるべきでもないし、安易な転職によって解決しようとするべきでもない。決して隣の芝は青くない。