最近取材や経営者仲間の間で頻繁に聞かれる質問の一つが、エンゲージメント従業員満足度の違い。またそこにロイヤリティやモチベーションなども入ってくるともはやよくわからなくなりやすい。

私も多くの専門家の人にご教示頂いたり、書籍から得た情報をもとに、自分なりに整理して理解をしているので少し紹介したいと思う。

まず大前提として、エンゲージメントという概念は、仕事や会社に対するモチベーションやロイヤリティ、従業員満足度というものをある意味包括している感覚がある。モチベーションというのはなんらかの行動をとる上での動機となる感情であり、仕事や会社に対するモチベーションというのはエンゲージメントの一部とも言えるのではないかと思う。会社に対するロイヤリティという概念もエンゲージメントの一部と考えても差し支えないと思う。

一方で従業員満足度という要素もエンゲージメントに似た概念ではあるが、いくつか異なる点があるのではないかと思う。まず一つは時間軸が少し異なる。従業員満足度というのは今日に至るまでの過去の仕事や報酬や評価などに対する感情であり、エンゲージメントはまさに今この瞬間の感情にフォーカスしている。

また従業員満足度を高めると社員はより心地よい状態にはなるが、活き活きとしてパフォーマンスが上がっていくというわけではない。多少なりともパフォーマンスへの正の影響はあろうが、さしたる相関は今のところ見つかっていない。それ以上に従業員満足度を高めるためには給与向上や福利厚生の充実、オフィス環境の改善など、それ相応のコストが発生するため、パフォーマンス向上以上にそちらのインパクトの方が高くなるリスクを孕んでいる。

一方でエンゲージメントというのは社員がエネルギッシュに意欲を持って取り組む感情の度合いであり、明確にパフォーマンスと正の相関があることが既に複数の研究結果で証明されている概念である。

両者の違いを、活性化↔︎不活性化快感情↔︎不快感情という二軸のマトリックスで整理するとこんなイメージになる。
Engagement.001

これはエンゲージメントの国内第一人者でもあられる北里大学の島津教授からお教え頂いた概念図である。確かにこうやって整理してみると極めてわかりやすい。

エンゲージメントは残業時間を減らしたり、福利厚生を充実させたりすることで向上するようなものではない。もう少し根本的な働きがいややりがい、承認欲求や信頼関係を高めることでしか、向上していかないもの。

私は日本で働く人々のエンゲージメントは極めて低いのではないかという仮説を持っている。
そしてそれが平成30年間の経済成長鈍化の一番の要因なのではないかとさえ思っている。

今まさに働き方改革と銘打って様々な改善施策が検討・導入されているが、いまだに弱者救済的、労働者保護といった側面が強く、決して働く人々のエンゲージメント向上には繋がらないのではないかと思っている。

セーフティネットを用意することももちろん重要なことだが、トップラインを引き上がることもそれと同じ以上に大事なことだと思う。

少子高齢化という大きな経済的課題に直面しながらも、日本がそれに抵抗し経済成長していくにどう変わっていくべきか。わかっているのは間違いなくかなり厳しい状況に追い込まれており、変わらなければこのまま沈みゆくだけだということだろう。