麻布十番で働くCEOのBlog(旧・南麻布で働く社長のblog)

成功報酬型求人メディアGreenの運営や、インターネットサービスの企画・開発を行う株式会社アトラエの社長のblogです。

2015年02月

2015年、雇用や経済の中心はものすごいスピードで知識労働産業へとシフトしている。

知識集約型の産業においては知恵、つまり優秀な人そのものが組織の競争力となる。
またサービスやプロダクトのライフタイムサイクルはとてつもなく短期化していることと、テクノロジーによるイノベーションも頻繁に起こるのが今の状況なのではないかと思う。

つまり組織としての競争力をプロダクトやサービスに置くのは、短期的にはありえるとしても、長期的に見ればありえない。

大事なのはその時代時代において競争力があり、価値を生み出し続けることができる、変化を遂げ続けることができる、そんな人材が集まり、定着している組織こそが、長期的に見て強く、スピード早く変化し続ける市場にも対応できるのではないだろうか。


少し話は変わるが、新卒採用活動の中で女子大生からこんな質問をもらうことが多い。

「出産や育児に関してはどういう制度がありますか?」

なるほど、女性として仕事と家庭の両立を考える上では至極当然の質問だと思う。


しかし残念ながら弊社では特別なルールはほとんどない(T_T)
※誤解がないよう補足するが、労基法上の産休・育休・復職に関する就業規則は当然ながらすべて網羅している。

では特別なルールがないから家庭を持つ女性にとって働きづらいのか。
それは違うと思っている。
ルールよりも先に大事なことがあるのではないか。


勿論大企業にいけばルールだけは整っているケースが多い。

しかしながら、

制度はあるけど雰囲気的に申請しづらい。
結局迷惑がられている空気に耐えられない。

そんな理由で自ら辞めてしまう人が後を絶たない。

私の周りにはそういう人が山ほどいる。
最近はだいぶ改善されたのかもしれない。

それでも転職ビジネスに17年近く関わっている感覚値としては、まだまだ変わりきれていない印象を持つ。


結局のところ、制度やルール以上に、経営陣は勿論のこと、そこで働く人達が持っている価値観や風土といった定性的な要素こそが最も大事なのではないだろうか。


別にルールは必要があれば創ればいい。
大事なのは杓子定規にルールを創ることではなく、いろんな事情を持つ社員ができるだけストレスなくビジネスに集中・熱中できる環境を整えてあげることであり、そういう感覚をすべての社員が持っていることだと思っている。


手前味噌だが、弊社では30人に満たない組織にも関わらず、シングルマザーが2人も活躍していたり、実家の事情で北海道に住みながらも活躍しているエンジニアがいたり、子供が熱を出したら自宅でリモートワークで働くお父さんデザイナーがいたりする。

それはまさにアトラエという組織が持つ価値観や社風によるものだと思っている。
多くの社員がそういうことに対して妬みなどを含めたマイナス感情を抱かず、どちらかといえば協力しようとしてくれるカルチャーがある。


仕事が出来るということも大事だが、それ以上に人間としても素晴らしい仲間が揃っていることを誇りに思う。

日頃からの仕事への取り組み姿勢なども含めた社員同士の信頼関係がベースにあるということと、そういう人の方がかっこいいという共通認識を持てていることが大きいのかもしれない。


Google風に言えば、スマートクリエイティブと言われる意欲と能力を持つ一流の人材が、この組織で働きたいと思ってくれるような組織を構築することこそが、知識集約産業における唯一最大の差別化を生み出すはず。


弊社もまだまだ課題が多く、出来ていないことだらけだが、企業を成長させることや経済的対価、社会への提供価値などを高めていくことも含めて、スマートクリエイティブな人達がストレスなくビジネスに熱中できる組織を構築し、従業員・顧客・株主のWin-Win-Winを実現したいものである。


私の経営持論が間違ってなければ、弊社の未来はめっちゃ明るいはずw

これからも採用や組織作りには徹底的にこだわっていくという決意を胸に頑張ります。

弊社は現在のAtraeに至るまでに11年ちょっとの年月を要してきた。
その月日たるやとんでもなく長かったように思う。

最初から戦略的に、計画的にやってこれたわけなんてないわけで、試行錯誤、紆余曲折、なんとかかんとか現在に至っている。


先日弊社の内定承諾者が他社さんで

Atraeはいい組織かもしれないけど現実的にはGreenしか成功していない

というようなニュアンスのことを言われたと聞いた。


悔しいがその通り。ぶっちゃけ何の反論もない。


弊社では誰一人、Greenだけを企画・運営する会社を目指しているわけでもないし、そんな会社で終わるつもりなんて毛頭ない。ただ今この瞬間で言うならば、世の中にそれなりの価値を提供できているサービスはGreenだけだというのが現実である。


我々は全ての社員がワクワクし、誇らしいと思えるような事業しか取り組まないと決めている。
そういう意味ではその条件を満たし、継続して取り組むだけのサービスを生み出すことはそんなに簡単なことではない。


社員がワクワクしながら運営しているような、世の中が必要としているような、そんなサービスを複数成功させている会社はそれほど多くは存在していないのではないだろうか。もちろん上手に黒字化を実現している、売上を上げられている事業を複数持っているという会社はいくつも存在するだろうが、それが事業を成功させているという自負につながっているのであれば、我々とは目指している姿が違い過ぎるので、あまり比較する意味はない。


我々はこれまでに多くの挑戦をしてきた。つまり多くの失敗もしてきた。
ある意味そう簡単に成功しないこともわかった上で、継続可能な範囲で最大限挑戦を繰り返してきた。

その結果として、組織は大きく進化した。

具体的には、営業の強い会社から、インターネットサービスを企画し、開発し、運営できる組織として、相応のITリテラシーを身につけ、情報感度を磨き、技術力、デザイン力、企画力を高めることに成功した。今では50%の社員がエンジニアやデザイナー、コーダーといったプロダクトを創りあげる仕事に就いてくれている。


まさに挑戦と失敗を繰り返してきたこの5年くらいで、従来の営業よりの組織を、完全にインターネット企業へと進化させることができた。


そんな進化はもちろん社外からは見えないだろうし、そもそも見えなくていいのだが、古くからいる社員達はみんな理解しているし、相当な覚悟で変わる努力をしてきた。
そしてもちろん私が最も理解しているし、私自身もインターネット企業の経営者として一定の成長と進化を遂げられたと自負している。


社員規模もそれほど変わっていないし、相応に収益を上げているサービスはGreenだけなのは変わりないので、外部から見ると停滞しているように見えるのかもしれないが、組織の本質的な中身は劇的に進化してきた。そしてこの組織が多くの失敗から学んだ結果として、これからいくつものワクワクするサービスを生み出していく未来がだいぶ明確に見えてきているのも事実。まあやっとという感じでもあるが。。。


投資家なのであれば勝ち馬を探せばいいかもしれない。
しかし自分が働く会社を選ぶということは、決して勝ち馬を探すということではない。
自分達で勝ち馬を育てていく、そのプロセスを楽しめるかどうかが大事。
そのためには自分が本気で共感し、長期的に熱中でき、信頼できる仲間がいることが大事だと思っている。


資本市場でできるだけ早く成長していくということも、会社の価値という意味では凄く大事な要素であるのは事実だが、早く売上拡大をしていくだけで社員が幸せになるわけでも、会社としての価値が高まるわけでもない。会社の本質的な価値というのはもっと複雑な要素で構成されている。


これ以上書くと負け犬の遠吠えっぽくて少し悲しいので、早くGreen以外の事業も成功させ、それに合わせて売上・利益も急成長させ、最高の仲間達が誇りを持って働き続けられる組織を実現しないといかん。。。


まずはGreenを今まで以上に伸ばしつつも、年内にはGreen以外の事業の収益化を実現すること。

そこまで到達すれば必ずまた新しい景色が見えるはず!!

アトラエではチームプレイヤーであることを採用時にとても重要視している。
それは何故か。

仲間と共にインターネットサービスを創りあげるのは、仲間と共に1つの家を建てるのに似ていると思っている。耐震設計の専門家、木材やガラス材の専門家、ペンキ塗りの専門家、防水の専門家、現場監督などなど、多くの役割分担によってやっと1つのプロダクトが完成する。
最高の家を創りあげるためには、誰か一人が突出した能力を持っていることよりも、チームとして息が合っていることが極めて大事となる。

インターネットのサービスを創りあげる上でも同じようなことが言えると思っている。


ゆえにアトラエではチームプレイヤーであることを重要視している。


実際には

「私はチームプレイヤーではありません」

というタイプの人はさすがにほとんど受けてはこないものの、本当の意味でチームプレイヤーである人も結構少ないという印象を持っている。


チームプレイヤーの本質ってなんなのだろうか。

私はチームでパフォーマンスを発揮する際に、自分個人の持つ力以上の価値発揮ができる人、ということなのだと考えている。


最も多い勘違いタイプは、チームプレイヤーという言い訳の元に、個人としての成長や個人としての努力、個人としてのパフォーマンスや責任から逃げてしまうタイプの人。こういう人は一番難しい。まさに寄らば大樹とばかりに仲間に依存してしまい、一人では何にもコミットできない人。

こういう人は一流のチームにおいては雑用係程度でしか貢献できない。
厳しい言い方をすると組織において必要不可欠な人にはなりえない。

またその一方で常にチームとしての成果や目標達成にリンクしないような個人としての成長や出世、興味・関心ばかりを意識しているタイプの人、これもまたチームプレイヤーとは言えない。こういうスーパープレイヤータイプの人材が活きる組織もあるが、少なくともインターネットサービスを創りあげる会社においてはマイナス効果の方が大きいと考えるのが正しいと思う。


弊社のように若い会社においては、チームプレイヤーたれ、ということと、個人として成長せよ、ということの意味がごっちゃになりやすいが、上記した通り決して相反するものではない。


わかりやすく言えばこんな感じだろうか。

自分が今以上にチームのパフォーマンスに貢献できるように、もっと個人として成長せよ


全員がまだまだ未成熟な組織である以上、全員が個人としての成長を志しつつも、その先には常にチームとして目指していることの実現がなければ、チームプレイヤーとして何ら意味がない。


自分が求められている成長の方向性や要素を勘違いしてしまうと組織ではどんどん価値がなくなっていってしまう。それは市場での価値が減少していくことにも限りなく近い。


わかりやすく例えるならば、インテルは長友に個人としての更なる成長を期待しているだろうが、決してドリブルのテクニックやフリーキックの精度を磨くことを期待しているわけではない、みたいなこと。長友が今のチームでもっと貢献するために、どういう要素を磨いていくべき、どんなパフォーマンスや役割や貢献を期待しているのか、そのあたりをしっかりと汲み取って努力する人が一流のチームプレイヤーだと思う。


自分が今所属するチーム、ひいては会社全体に対する価値貢献を常に意識し、自己成長や役割の遂行に対して本気で努力できる人が真のチームプレイヤーであろう。

そういう人達と一緒に働きたい、心からそう思う。

アトラエでは出世という概念を一切なくし、肩書は取締役と社員のみというフラットな組織運営に挑戦している。

その理由は一人ひとりの知恵を最大限経営に反映させ、意思決定のスピードを高速化し、チームとしてのパフォーマンスを最大化するため。

自分に置き換えればわかると思うが、組織において本気で成果を出そうと思えば思うほど、社長や意思決定者のできるだけ近くで仕事をするのが望ましいと考えるのではないだろうか。
少なくとも私は前職で組織に属していた時は、何かを変えたい時にはできるだけ最終決済者に直接掛け合ってきた。その方が話が早いし、後から手のひらを返されるリスクも少ないと考えていた。


会社組織で出世することや、評価されることを目指すようなタイプの人ではなく、チームとして本気で成果(=社会に対する価値創造)を出そうと取り組む社員にとっては、組織はフラットであればあるだけ動きやすくなるのではないかと思う。
命令されたことではなく、自分が本当に正しいと思うことを成し遂げることに全力を傾けられる。


How Google Works』というGoogleの経営陣によってGoogleでの働き方や文化などが赤裸々に語られている本にも以下のような記載がなされていた。


こんにち多くの企業が採用している経営管理プロセスは、こうした目的を満たすものではない。いずれも100年以上前の時代の産物だ。失敗のコストが高く、全体的な情報を握っているのは経営トップだけという時代のもので、リスクを抑え、情報量の多いひとにぎりの経営者だけに意思決定を委ねることを主眼としていた。この伝統的な指揮統制を旨とする構造では、組織の末端から経営陣へとデータが上がっていき、意思決定がなされると今度はそれが逆方向に下っていく。この方法は意思決定のスピードをあえて遅くするように設計されており、その狙いを十分に果たしている。つまり、企業が経営のスピードをひたすら高めていかなければならないこの時代に、構造がそれを阻んでいるのだ。

(中略)

まず組織はフラットに保つべきだ。たいていの企業には根本的な矛盾がある。社員はトップとの距離を近くするため、組織はフラットなほうがいい、と言う。だが現実的にはヒエラルキーを望んでいる。だがスマート・クリエイティブは違う。彼らがフラットな組織を望むのは、トップの近くにいたいためではなく、仕事をやり遂げたいためで、それには意思決定者と直接折衝する必要があるためだ。



Googleほど成功している会社の経営陣がこのように書いてくれたことで、アトラエとして長年こだわって取り組んできた組織運営手法がそれなりの意味があるものだったと改めて実感することができた。

また最近では組織運営に定評のある米国企業のザッポスという会社でも、会社組織の一部で役職や肩書を完全に廃した組織運営を実験的に行っているという。
こういう考え方をホラクラシーと言い、ヒエラルキーでなく社員が自律的に運営するのが特徴だと言われている。

何にせよ、少しづつながら次世代型の組織のあり方が模索され始めていることを感じる。


勿論、チームごとに一定の意思決定を実行していく必要性はあるため、基本的にチームを形成し、それをプロジェクトと考え、各チームにはプロジェクトリーダーを任命するようにしている。この場合のプロジェクトリーダーはあくまでも役割の話であり、決してそのプロジェクトの中で最も偉い人でも、最も給与が高い人でもない。

実際に新卒1年目にリーダーを任せているプロジェクトもある。


勿論評価はフラットではなく実力主義で決まっていく。
これは各社員の組織の成長、目標実現に対する貢献度によって取締役が中心となって決めている。
弊社のいまくらいの人数であれば、この方法が最も公平性を担保できると思う。
今後組織を大きくしていく上で、どう仕組化したり、制度化していくかは、検討が必要かもしれないが。。。


フラットな組織を運営していく上で大事なポイントが2つある。

1つは全社員の情報レベルを限りなく経営トップと同じレベルまで引き上がる努力をすること。
つまり全員が経営トップと近しい情報を持てさえすれば、多くのことは自分で考え、自分で判断して、動くことができるし、合議制で何かを決める上でも話が早い。

しかし各社員が現場における自分の視点、つまり開発者であれば開発の視点、マーケティング担当であればマーケティングの視点からしか物事を考えなくなってしまうと、フラットな組織は成り立たない。全社員が経営トップと近しい情報を持ち、経営的視点に基づき、自発的に考え行動することこそが、フラットな組織がパフォーマンスするための必須条件である。

組織が大きくなっても、多くの社員がしっかりと経営トップと近しい情報を持てるようにあらゆる努力をし、多くの社員が経営視点に基いて考え行動できるよう促したり、教育していくことで、フラットな組織は拡大にも耐えうるだろうと考えている。


そしてもう1つは、文化やカルチャーの醸成である。
自らの考えを主張する責任権利を全ての社員が持っているという自覚を全員が持たなければ成り立たない。誰でも正しいと思うことをしっかりと主張し合う文化、誰が言ったかではなく何を言ったかのみが重視される風土、そういう価値観を組織として徹底し続けていなければ成り立たない。普通の組織で働いてきた人達は、どうしても先輩や経営トップの意向を汲み取ろうとしてしまいがちになる。それが普通の組織で生きていきた人達の常識なのだから仕方ない。

だからこそアトラエでは新卒で入社してきた社員が70%を占める。
ベンチャー企業としては恐らく日本で最も新卒比率が高い組織なのではないかと思う。

既存の慣習に影響を受けず、実際に自分達が正しいと思えることを追求し続けられるのが、新卒ならではの強みだろう。


せっかく仲間と何かを目指して頑張ろうと思っているのだから、社内における出世や肩書を目指すのではなく、如何に社会に対して提供する価値を最大化できるか、にコミットして全員が一致団結して本気で動く、そんな働き方こそが理想なのだと思う。


新卒採用や中途採用においても、なぜアトラエがフラットな組織にこだわっているのか、という質問を頻繁に受けてきたが、このブログによってその理由が少しでも伝われば嬉しい限り。

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