経営者としての成功とは何か。
最近は資金調達を実行するだけでたくさんの人から「おめでとう!」というコメントがSNSで投稿されているのをよく目にする。
また昨今は成長途上の会社を売却するケースが日本でも少しずつながら増えてきている。
プライベートカンパニーとして黒字で運営している会社もあれば、少人数でいきいきと働いている会社もある。
では経営者として何が成功なのだろうか。
ここからの内容はあくまでも私自身が2000年から経営者としてビジネスを営み、2003年から起業して今に至るまでの試行錯誤の道のりの中で考え抜いた末にたどりついた一つの考え方にすぎないことを事前に伝えておきたい。
私自身の考えとしては、本質的に会社という仕組みは関わる人々(ステークホルダー)が幸せになるために作り出された仕組みだと考えている。広義で捉えれば資本主義自体も人々が幸せになるために、現時点でもっとも適していると考えられている仕組みなのではないだろうか。
会社単位に話を戻そう。
会社単位で考えた時にステークホルダーとして考えられるのは、主として社員・顧客・株主であり、広く捉えればその家族や社会ということになるのだろう。
経営者の仕事とは、最低でもそのステークホルダー3者に対して価値貢献をすること、言い換えればその3者を幸せにすることに他ならないのではないかと思う。
もちろん坂本龍馬のように国の未来のように、もっと大きく価値ある目的のために人を巻き込み実行するというリーダーもいるのは理解している。しかしながらそんなレベルの話をしていても、私のような至極庶民レベルの経営者からすれば正直雲の上の話である。あくまでも一般的なレベルにおける成功の定義を考えると、この3つのステークホルダー、もしくはその家族や社会といったところまでの幸せを考えるのが現実的ではないだろうか。
その上で、顧客に対する価値貢献は売上もしくは売上粗利という指標で、株主に対する価値貢献は時価総額もしくは株価という指標で、そして社員に対する価値貢献はエンゲージメントという指標で測ることができる。
私が考える経営者の仕事というのは、その3つの指標をしっかりとバランスを保ちながら向上させていくことだと考えている。
なので経営者としての成功は、少なくともその3者に対する価値提供が実現できたときであり、更に言えば世の中の一般的な水準と異なるレベルでその価値提供のバランスを実現できた時が、経営者としての成功なのではないかと思っている。
その論理でいえば、会社売却というのは株主という1ステークホルダーという視点だけで言えば価値提供になっているケースが多い一方で、社員や顧客という視点でいえば特段の価値提供にはならないケースも多い。そういう意味ではいわゆる経営者としての成功ではなく、オーナー株主としての成功だと捉えるのが正しい気がする。
100%オーナー社長でプライベートカンパニーでしっかりと売上・利益を出している会社は、株主=自分なのでそこは気にする必要がない。そういう意味では社員がエンゲージメント高くイキイキと働いていて、売上・利益が出せているようなら、経営者としては成功といっても差し支えないように思う。
売上や利益、はたまた株価が伸び続けていながらも、社員のエンゲージメントが極めて低い会社というのも、あくまでも人を使ってうまく収益を出す力が高いという事実はありながらも、私が考える経営者の仕事という意味では足りてないように感じる。
こういった私なりの勝手な概念でいえば、資金調達や会社売却を経営者としての成功と捉えることには多少なり違和感が芽生える。
あくまでも主たる3者のステークホルダー、もしくはその家族や社会といったそれ以上のステークホルダーに対する価値提供の実現こそが経営者の仕事であり、そのレベルやクオリティをどこまで高められるかこそが、経営者としての成功の定義ではないだろうか。もちろんそのレベルは人それぞれの考えや目線があろうとは思うが。
ちなみに、弊社アトラエでは私CEOの報酬は以下のような明確なロジックで算出される仕組みを導入している。
CEO報酬
=【高額給与社員トップ5%の平均月額給与】×【係数】×【KPI1】×【KPI2】×【KPI3】
KPI1・・・前年対比売上成長率によって自動的に算出される0.9〜1.2までの係数
KPI2・・・前年対比時価総額成長率によって自動的に算出される0.9〜1.2までの係数
KPI3・・・期末の全社員のエンゲージメントスコアによって自動的に算出される0.9〜1.2までの係数
これが正しい評価システムなのかはわからないが(そもそも正しい評価なぞ存在するのか?!)、私なりに考える経営者の価値貢献に基づいたロジックにはできたと思っている。
誤解なきよう最後に付け加えさせてもらうと、資金調達がしやすくなったことや起業そのものがしやすくなったことは日本にとって非常にポジティブなことであり、またIPOだけではなく売却という選択肢もできたことも極めてポジティブだと捉えている。
一方で経営とは何か、経営者の成功とは何か、という点においてはもう少し深く考察することが大事なのではないかと考えている、ということからこんなエントリーをしてみた次第である。私自身もまだまだ道半ばであり、成功にはほど遠いレベルだということは十分に認識している。
高度経済成長が終焉してからすでに30年近くが経過するが、その間の日本という会社の経営や決して成功ではなかった。特に働く人々のエンゲージメントという意味では現在は過去最低レベルだと思われる。
働き方改革では日本で働く人々のエンゲージメント向上こそが最優先であろう。
昨晩の会食でこんな話を教えていただいた。
人は現在自分がいる地点の絶対値が高いか低いかによって幸せを感じるのではなく、現在いる地点が上り坂の途中だと感じているのか、下り坂の途中だと感じているのかによってのみ、幸せか不幸かを感じる生き物らしい、と。
改めて経営者としてより関わる人々の幸せを追求し続けることと、関わる人々を増やしていくことに邁進しつつ、究極的には人のためではなくそれこそが自分自身の達成感ややりがい、そして幸せにつながるのだと思う今日この頃である。
最近は資金調達を実行するだけでたくさんの人から「おめでとう!」というコメントがSNSで投稿されているのをよく目にする。
また昨今は成長途上の会社を売却するケースが日本でも少しずつながら増えてきている。
プライベートカンパニーとして黒字で運営している会社もあれば、少人数でいきいきと働いている会社もある。
では経営者として何が成功なのだろうか。
ここからの内容はあくまでも私自身が2000年から経営者としてビジネスを営み、2003年から起業して今に至るまでの試行錯誤の道のりの中で考え抜いた末にたどりついた一つの考え方にすぎないことを事前に伝えておきたい。
私自身の考えとしては、本質的に会社という仕組みは関わる人々(ステークホルダー)が幸せになるために作り出された仕組みだと考えている。広義で捉えれば資本主義自体も人々が幸せになるために、現時点でもっとも適していると考えられている仕組みなのではないだろうか。
会社単位に話を戻そう。
会社単位で考えた時にステークホルダーとして考えられるのは、主として社員・顧客・株主であり、広く捉えればその家族や社会ということになるのだろう。
経営者の仕事とは、最低でもそのステークホルダー3者に対して価値貢献をすること、言い換えればその3者を幸せにすることに他ならないのではないかと思う。
もちろん坂本龍馬のように国の未来のように、もっと大きく価値ある目的のために人を巻き込み実行するというリーダーもいるのは理解している。しかしながらそんなレベルの話をしていても、私のような至極庶民レベルの経営者からすれば正直雲の上の話である。あくまでも一般的なレベルにおける成功の定義を考えると、この3つのステークホルダー、もしくはその家族や社会といったところまでの幸せを考えるのが現実的ではないだろうか。
その上で、顧客に対する価値貢献は売上もしくは売上粗利という指標で、株主に対する価値貢献は時価総額もしくは株価という指標で、そして社員に対する価値貢献はエンゲージメントという指標で測ることができる。
私が考える経営者の仕事というのは、その3つの指標をしっかりとバランスを保ちながら向上させていくことだと考えている。
なので経営者としての成功は、少なくともその3者に対する価値提供が実現できたときであり、更に言えば世の中の一般的な水準と異なるレベルでその価値提供のバランスを実現できた時が、経営者としての成功なのではないかと思っている。
その論理でいえば、会社売却というのは株主という1ステークホルダーという視点だけで言えば価値提供になっているケースが多い一方で、社員や顧客という視点でいえば特段の価値提供にはならないケースも多い。そういう意味ではいわゆる経営者としての成功ではなく、オーナー株主としての成功だと捉えるのが正しい気がする。
100%オーナー社長でプライベートカンパニーでしっかりと売上・利益を出している会社は、株主=自分なのでそこは気にする必要がない。そういう意味では社員がエンゲージメント高くイキイキと働いていて、売上・利益が出せているようなら、経営者としては成功といっても差し支えないように思う。
売上や利益、はたまた株価が伸び続けていながらも、社員のエンゲージメントが極めて低い会社というのも、あくまでも人を使ってうまく収益を出す力が高いという事実はありながらも、私が考える経営者の仕事という意味では足りてないように感じる。
こういった私なりの勝手な概念でいえば、資金調達や会社売却を経営者としての成功と捉えることには多少なり違和感が芽生える。
あくまでも主たる3者のステークホルダー、もしくはその家族や社会といったそれ以上のステークホルダーに対する価値提供の実現こそが経営者の仕事であり、そのレベルやクオリティをどこまで高められるかこそが、経営者としての成功の定義ではないだろうか。もちろんそのレベルは人それぞれの考えや目線があろうとは思うが。
ちなみに、弊社アトラエでは私CEOの報酬は以下のような明確なロジックで算出される仕組みを導入している。
CEO報酬
=【高額給与社員トップ5%の平均月額給与】×【係数】×【KPI1】×【KPI2】×【KPI3】
KPI1・・・前年対比売上成長率によって自動的に算出される0.9〜1.2までの係数
KPI2・・・前年対比時価総額成長率によって自動的に算出される0.9〜1.2までの係数
KPI3・・・期末の全社員のエンゲージメントスコアによって自動的に算出される0.9〜1.2までの係数
これが正しい評価システムなのかはわからないが(そもそも正しい評価なぞ存在するのか?!)、私なりに考える経営者の価値貢献に基づいたロジックにはできたと思っている。
誤解なきよう最後に付け加えさせてもらうと、資金調達がしやすくなったことや起業そのものがしやすくなったことは日本にとって非常にポジティブなことであり、またIPOだけではなく売却という選択肢もできたことも極めてポジティブだと捉えている。
一方で経営とは何か、経営者の成功とは何か、という点においてはもう少し深く考察することが大事なのではないかと考えている、ということからこんなエントリーをしてみた次第である。私自身もまだまだ道半ばであり、成功にはほど遠いレベルだということは十分に認識している。
高度経済成長が終焉してからすでに30年近くが経過するが、その間の日本という会社の経営や決して成功ではなかった。特に働く人々のエンゲージメントという意味では現在は過去最低レベルだと思われる。
働き方改革では日本で働く人々のエンゲージメント向上こそが最優先であろう。
昨晩の会食でこんな話を教えていただいた。
人は現在自分がいる地点の絶対値が高いか低いかによって幸せを感じるのではなく、現在いる地点が上り坂の途中だと感じているのか、下り坂の途中だと感じているのかによってのみ、幸せか不幸かを感じる生き物らしい、と。
改めて経営者としてより関わる人々の幸せを追求し続けることと、関わる人々を増やしていくことに邁進しつつ、究極的には人のためではなくそれこそが自分自身の達成感ややりがい、そして幸せにつながるのだと思う今日この頃である。