以前も記載しましたが、「奇跡の経営」という本、この本が結構面白い。
まさに今の株式会社があるべきと言われている姿を全て否定し、それでも利益を出し続けているのが面白い。
私自身、従来より株主至上主義に疑問を感じ、一方で従業員の満足度やモチベーションに重きを置いてきた人間であるからか、余計に「なるほど」とうなずくシーンが多い。
こんなことを書くとアンチ株主と思われるかもしれないが、そういうわけではない。
あくまでも株主がリスクを取って投資してくれたことに対して、それに見合ったリターンを還元することは経営者として常識だと思っている。
ただし、その見合ったリターンを超えてまで株主価値を追求する、つまり株主価値を最大化することのみを目的とした経営には全く賛同できない、という意味である。
将来的には既存の株式会社とは異なるスキームの組織が存在すべきなのかもしれないと真剣に思っていたりもする。
まあ、この議論はかなりの物議を醸し出すと思うので、ここまでにとどめておくべきとは思うが、是非とも「奇跡の経営」を読んでみて欲しい。
この経営者の言うことが全て正しいとは思わないし、そうではないだろう。
しかしかなり今まで評価されてきた「経営」の質を考え直すきっかけにはなると思う。
ちなみに180〜182ページにある文章を例に挙げると、
「さて、評価指標でもう一つ、社員から会社がどう思われているかという点があります。・・・・(中略)・・・月曜の朝に会社に行きたいという気分になれるかどうか、上司を信頼できるか、また会社が内部、外部に向けて発表していることを信頼しているかといった・・・(中略)・・・・・」
このセムコという会社は、まさに株式会社という枠組みを超えて、人が共に働く集合体として、必要なモチベーションや生きがいという点を重要視することで、成果を上げ続けている組織なのである。
私自身、非常に共感できる面が多く、そしてずっと疑問に思っていた点が多少なり見えてきたような気もする。
真似るつもりはないが、ある意味現在の資本市場に対するアンチテーゼとして非常に参考になるので、経営者やマネジメントレイヤーの方は是非とも読んでみることお薦めする。