先月号のハーバードビジネスレビューで興味深い考え方があった。

それは『フェアプロセス』と呼ばれる考え方。


フェアプロセスとは読んで字のごとく、公正なプロセスのことを意味する。


具体的には、人は結果にもこだわるが、それに至るまでのプロセスにもこだわる。
つまり、その結果がいかに満足できるものでも、そのプロセスが不条理で、公正さに欠けるものであれば、不信感を抱き、やる気を失う。逆にプロセスが公正で納得できるものであれば、意に沿わない結果でも甘受する、というような理論を指す。


「どうせ言ってもわからない」「決まったことだから」「これ以上彼に負担をかけても仕方ない」「効率的な役割分担をすべき」などと考えがちじゃないだろうか。


合理的に考える人ほど陥りやすい。

人はそのプロセスに参加できている、もしくはそのプロセスをちゃんと理解・共有している、ということを非常に大事にするという。


最近弊社ではユーザビリティボードというユーザビリティを統括するクロスファンクショナルチームを創設した。ユーザビリティに関わるようなシステム変更やデザイン変更は、全てこのチームが最終承認しないとサービスインできないことになっている。

このチームの主旨は、ユーザビリティ向上とデザイン統一感の醸成。

しかし良かれと思ってやり始めたところで、少々つまづいた。


というのも少なからず複数名が、


「自分達の知らないところで勝手に決めている」

「意思決定のプロセスがわからない」

「自分達は言われたことをやるだけなのか」


といった不安や不満を持ったように感じる瞬間があった。


つまりユーザビリティボードを編成してユーザビリティ向上やデザインの統一感を実現することには賛成していても、そのプロセスが理解できなかったり、共有されなかったりすると、人はネガティブに受け止めてしまう。

まさにフェアプロセスを欠いた私の行動の結果だった。

ついついはしょってしまいがちな意思決定のプロセスの共有。

しかしそこにこそメンバーのモチベーションの源泉がある。

ちょうどハーバードビジネスレビューを読んだタイミングでの出来事、なかなか良い勉強になった。勉強しなきゃいけないことはまだまだ沢山ある。