仕事柄、日頃より社内の人事制度や採用すべき人材などについて、経営者から相談を受けることが多い。

そしてそういう中で良く感じることがある。

それは事業モデルや業種・業態などによって、最適な人材戦略・組織戦略は大きく異なるということ。


今日のブログでは比較的にありがちな間違いを例に挙げてみようと思う。


一番多い人事・組織戦略における間違いは、事業モデルが比較的単純な労働集約モデルであったり、既存の枠組みが出来上がっている中でのオペレーション的な業務が大半を占めるような組織における取り組み。

こういう組織を持つ経営者から


「何とかもっと有能な若手を採用したいんだけど」

「力のある奴に限って辞めちゃうんだよね」

「最近の若い奴は忍耐が足りないな」


という話をお聞きすることが多い。

3つ目は個人的に共感する点もなくはないが(笑)、まあ今回の組織論からいえば、このコメントはちょっとずれていると言わざるを得ない。


ポイントは採用や雇用についても市場競争にさらされているということ。
力のある人ほど選択肢は多いのも資本市場においては当然。

そんな中で、単純な労働集約的な業務を長期に渡って担っていることを良いと思う優秀な人材は少ないだろうし、オペレーショナルな業務も同じであろう。

とはいえ組織だからこそオペレーショナルな業務は発生する。

そこはちゃんと採用戦略を分けて考えるのが最も適切な人事戦略であろう。


事業の仕組みづくりをしたり、立ち上げたり、軌道に乗せたり、改善したり、マネジメントや教育をしたりする人達と、その枠組みや仕組みにのっとって頑張ってくれる人達で、採用基準や評価制度、期待することを明確に分けるべきなのだと思う。

人道主義的というか、人にやさしい経営者ほど、それができずに結果として社員にとって、どちらのタイプの社員にとっても不満がたまりやすい組織を作ってしまっている傾向がある。

偉い偉くないではなく、価値観や能力の問題でしかない。

責任と裁量を負ってまでも、自らの力で何かを成し遂げたい、成長したいと思うタイプの人で、なおかつそれができうる実力や能力を有する人と、快適なライフワークバランスの中で自らのやるべきことを頑張ってこなすことで幸せを感じるタイプの人、そしてそういう適性や能力がある人、世の中にはいろんな人がいるし、それはそれでいいことだと思う。

オペレーションの面では、主婦の方々を活用してもいいし、外国人の方々を活用してもいい。それはコストを下げるという意味ではなく、そういった業務・条件の中でもモチベーションを持って働いてくれる人という意味である。

一方でそこからスタートしても、やっていく中でメキメキと価値観が変わってくるような若手もいるだろう。そういう人にとっては、階層を越えられるようなチャレンジ制度を用意してあげればいいだけのこと。


こういう話をするとどうにも米国的合理主義経営だと言われがちだが、全社員同じように採用することによって、どちらのタイプの人にとっても働きづらく、モチベーションが沸かない組織になってしまっている企業が多く、それらが人道主義経営だとは到底思えないというのが私の自論である。


私自身、複数の組織マネジメントを経験して、また多くの企業のコンサルティングを請け負ってきた中で、まさに実感値として感じてきたこと。


そういった経営戦略に限りなく近しい人事戦略を考えずして、採用を考えるのは本末転倒だと常々思う。

まずはここから見直し、その結果としての採用であろう。

また見直す際には外部の力を借りることが望ましい。

客観的に見れるということと、社内の人に遠慮がないということから、様々なことが合理的かつスピーディーに実行できるので。


と、今日はずいぶん熱弁してしまった結果、15分もブログを書いてしまった・・・。そろそろこのあたりで仕事に戻るとします。