昨今、また起業相談をちょくちょく受けることが増えてきた。
日本にも起業家が増えていくのは素晴らしいことだし、是非ともそういう人達には頑張ってほしい。

日本の高度経済成長を支えたのが今の日本を代表する大企業群であるように、21世紀の日本の経済成長は我々ベンチャー企業群が実現していく以外にない。

一方で最近いろんな相談を受け、アドバイスをしながら思うのは、失敗や苦労の中にこそ学ぶことがあるということ。私自身、成功経験の中から得ているものも当然あるが、それ以上に失敗や苦労の中で得たものの方が多いことに気付いた。

例えばファイナンス。

ベンチャー起業家にとってファイナンスは1つの重要なファクターだが、日本の起業家はファイナンスについての知識やノウハウはほとんどないと言っていい。投資家サイドは当然ながらファイナンスのスペシャリストが多いこともあり、投資家との交渉で優位に立てる起業家はほとんどいないようにも思う。

私自身は起業してから約8年だが、その間に様々な壁にぶつかり、幾度かの資金難にも直面したこともあって、生き残るためにもファイナンスは徹底的に勉強した。そして多数の投資家と交渉したり、第三者割当増資に始まり、銀行融資、転換社債、様々な方法を実践する中で、知識が経験となり、自分のノウハウとして定着した。

逆を言えば、創業当時から順風満帆にきているタイプの起業家はファイナンスを学ぶきっかけはほとんどないケースが多い。

利益を出す方法についても、ついつい前職が順風満帆の成長企業だったりすると、つい先行投資する経営イメージばかりが身に付いてしまい、コストをコントロールして堅実に利益を出すという経営ができなかったり、またその逆で自分が経験したことある会社が保守的だと、ついつい思い切った投資や攻撃的な意思決定ができなかったり、なかなか難しい。

結局、いろんな局面に遭遇し、多くの修羅場をくぐり抜ける中で、苦労しながら学んでいくのだろう。
そしてその経験がノウハウでありキャリアなんだと思う。

そう考えると、本当に今まで多くの修羅場をくぐって来たことが、自分にとっての大きな武器であり、これからの経営者人生をより良いものにしてくれる気がする。

ちょっとポジティブすぎる気がするが、失敗や苦労の中にこそ成長のきっかけやノウハウを得る機会があるのは間違いない。若いうちは楽してお金を稼ぐ事よりも、イバラの道を突き進み、多くの修羅場をくぐり抜けることで、30代、40代でより大きなことに挑戦するためのベースとなる経験値が積めるはず。

まさに「若いうちの苦労は買ってでもしろ」というのは良く言ったもの。

意図的ではないながらも、驚くほど沢山の修羅場をくぐってきたことで、今の自分、今の会社、今の仲間が存在すると思えば、これまた恵まれた経営者人生だと感じる今日このごろ。

さてそんな経験値を総動員して来期は一転して攻めに転じますので、乞うご期待あれ。