多くの経営者にとっては、ゴーイングコンサーン(going concern)、つまり継続企業として成長し続けることが大前提にあるのではないだろうか。

最近本当に成長し続けるべきなのか、成長し続けた先に何があるのか、などという極端に逆側からも考えてみたりしながら、経営のあるべき本質を理解しようとしていたりする。

最終的に思うのは、組織というのはいろんな目的・目標があっていいということ。

例えば、夫婦でやっている小料理屋で、お客さんが喜んでいて、やっている本人達もそれがずっと幸せなのであれば成長し続ける必要はないだろうし、一方でベンチャー企業などの場合は、成長することでしか社員・顧客・株主といったステークホルダーを幸せにはできないだろう。

かくいうアトラエも「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンの実現に向けて、日々成長しようと必死でもがいていたりする。


では成長し続けるためにはどうすればいいのか。

最近、有名な本「奇跡の経営」の著者であり、ブラジルを代表するセムコ社の社長のリカルド・セムラー氏の講演を聞く機会があった。同氏が会社の成長や昨年対比の伸び率などはまったく意識していないという。乱暴な言い方をすれば、社員がイキイキと働けるようにさえしていたら、自然と伸びていったと。

少し極端な話しに聞こえるかもしれないが、私自身の経験からも多少似たような感覚は持っている。
少し前の時代においては、誰よりも知見や情報を持ち、誰よりも経験豊富なカリスマリーダーが率いる組織こそが圧倒的な強さを誇っていたものの、情報社会の今となっては、保有する情報や知識は、社会人1年目でも20年目でもほとんど変わらないようになりつつある。経験値と人脈の差程度しか、差がない。

その中でリーダーを中心とした一部の人が知恵を絞っている組織と、全社員が知恵を絞っている会社であれば、長期的な視点でみれば後者の方が圧倒的な競争優位にあると思う。


とあるインタビュー記事の中でメルカリの小泉氏がミクシィ時代にプロダクトやサービスに依存した組織作りをしてしまっていたという失敗談を語っていたのを見かけたが、まさに会社組織としての永続性は実現可能だが、事業としての永続性を実現するのは極めて難易度が高い時代に突入している。そしてカリスマリーダーが次から次へとヒットプロダクトを生み出し続けることなんて不可能に近い。

そんな知識産業時代において、会社としての成長を継続させるためには、事業作りのさらに元となる組織作りや人材育成こそが必要条件になっていくと考える。
つまるところ強い組織を創ることこそが、長期的な競争優位を発揮し続ける上での必要条件となっていく。


そのためには明確なビジョン(目標)とそれに共感する人材を集め、育成し、定着させ、最大限力を発揮してもらえる環境を用意することこそが、フリーランス化や流動化が進む今の時代でも勝ち続けられる組織経営のあり方なのではないだろうか。

つまるところ現代に求められる経営とは、事業と組織の両輪のPDCAを、ビジョンに向かってより精度高く、スピーディーに回すことに他ならない。そして多くの経営者に不足しがちなのが組織サイドのPDCAに対する興味・関心・経験だろうと感じている。

改めて、あらゆる会社が成長するために組織力を向上させることの必要性に気付き、明確な課題意識を持って本気で改善に取り組む時代が到来することだろう。まさに戦略人事という考え方が、会社経営の表舞台に出てくることだろう。

現在我々が力を入れている新規事業wevoxはその流れをサポートし、そして加速させていくものになると考えている。

人が健康のために定期的に人間ドックや健康診断を受けて、自分の体の状態を把握し、改善に務めるように、法人組織もしっかりと自身の課題や問題を定量的に把握することで、改善することが可能となる。

そして近い将来、各社が自社のワーク・エンゲージメントのスコアの目標を中期経営計画に組み込んだり、社外に公表することで採用に活用したりするケースが増えていくことだろう。また投資家からもワーク・エンゲージメントスコアの提出を求められたり、モニタリング要素に組み入れられたりという時代もさほど遠くはない。

wevoxではそんな世界観を実現したいと考えている。

書き出したときはほぼ何も考えずに書いたものの、最後はしっかりと自社サービスの宣伝につなげてしまった。ここまで読んで下さった方、広い心でお許しを。