最近、いろいろな取材・インタビューや経営者の方々から、フラットな組織を作る上で大事な要素について質問いただくことが増えてきたので、一度ブログで整理してみようかなと思います。

タイトルが英語なのは、なんとなく日本語のタイトルにしたらダサかったので、英語にしてみただけで特に大きな意味はありませんw


まず最初によく誤解されがちな点として、組織はフラットにすべきだと主張したいわけでも、そう思っているわけでも一切ありません。私が組織づくりで大切にすべきだと思っているのは、働く人たちが無駄なストレスなく、いきいきとやりがいを持って、正しいと思うことに邁進できる組織であることだと思ってます。その一つの実現方法がホラクラシー型組織と呼ばれるフラットな組織形態だというだけです。

その上でフラットな組織、またはそれに準ずる組織を作っていく上で鍵となるポイントは、以下の3つだと思います。



・カルチャーや価値観の浸透
・徹底した情報共有の実施
・人事考課・評価システムの構築


まずどれだけ見た目や組織図をフラットに近づけたところで、社員の意識の中に上司・部下という概念が残っていたり、出世や派閥などの概念が残ってしまっていると、基本的にはなんら意味をなさないので、そこを徹底して改革することが第一歩だと思います。

若い社員が大先輩社員に対して、一切気負うことなく反対意見を言えるカルチャー作りを徹底しないと成り立ちません。そして全ての意見はその組織や事業、つまり会社を良くするため、ビジョンを実現するためであるべきで、そこに私心が入ってしまうのも絶対にNGです。そういった行動指針やバリューと言われるようなものをしっかりと浸透させない限り、一切ワークしないと思います。


それができた上で、次に大事なのは徹底した情報共有です。
大事なのは「徹底した」というところ。
どれだけ意欲があり視点が高くても、正しい情報がなければ正しい判断はできません。
社員に能動的かつ自発的な貢献活動を求める以上は、自分が持っている情報と同等レベルで情報を共有することが必要です。正確には必要に応じて誰もが情報を手に入れられる仕組み(システム)を整えることと、あらゆるコミュニケーションをオープンな場でするというルールの徹底をしないといけません。

弊社で唯一完全オープンでないのは給与に関する情報のみです。
給与に関する情報は、評価が低い人たちにとって、開示されることが一種のさらし首のようなネガティブな感情につながるリスクが高いと思ってます。やはり誰かが悲しい思いをしたり、働きづらくなったりするリスクがあるケースにおいては、情報開示はすべきでないと考えています。

ただしそれ以外についてはほとんど全てが共有されているので、自社株の売買については、全社員が社長や役員と同じレベルでインサイダー規制対象となっています。それでも徹底して情報を共有することを選択しています。


最後に人事評価や給与について。
ここが一番悩ましいところだと思います。
一律給与や完全年功制など、いろいろいとゼロベースで考えましたが、どれも今ひとつピンとこず。
やはりフラットである以上は評価者と被評価者が完全に別れるような仕組みは合わないと考え、基本的には360度での評価をベースとしています。
その上で、Pay for contributionという概念を軸としており、成果というよりも貢献ということに重きをおいた設計をしています。その人がどの程度貢献したのか、ということを360度で仲間から評価されることによって、給与原資の分配比率が決まるようにしています。貢献という曖昧な要素をどう因数分解し、なにを持って貢献というのか、というところが一番難しく、現時点でも鋭意改善中です。

ぶっちゃけイメージとしては、アトラエにとって代替難易度が高い人=貢献度の高い人、といえるのではないか、などの議論を、社員中心のワーキンググループで繰り返し行い、システムをブラッシュアップしていってる最中です。

フラットな組織で大事なのは、誰にも利権を持たせないということだと思っています。



上記3つの要素を満たす努力をしつつ、積極的にセクションや上下を超えたコミュニケーションを増やすことで、組織はより風通しよくなっていき、社員の心理的安全性が担保されやすくなり、結果として生産性が高まり、離職率も一定程度までは下がっていくはずです。

大事なのは会社というのは箱の名称ではなく、自分達の属するチームのことを指しているだけであり、まさに自分がその会社を構成する一人なのだという当事者意識やオーナーシップを持ってもらえるようにすることです。それができればあとは性善説で運営していけば、いろいろなことがうまくいく、そう思います。


失われた30年と言われるように、今までの日本の働き方や組織のあり方が明らかに制度疲労を起こしているのは明白です。事業モデルだけでなく、組織モデルもより自律分散協調型へと移行していくのが、極めて自然な流れであり、不可逆な流れだと思っています。

働き方改革も少し方向性がずれている気がしないでもないですが(笑)、そういった課題意識の現れなのだと前向きに捉え、本気で日本全体を変えていくことが大事だと思っています。


日本経済全体が、再び生き生きと活気あふれることを祈りつつ。